買い物中や仕事中、急にのぼせて困ったことがある人も多いのではないでしょうか。ほてりやのぼせ、発汗などにより日常生活に支障をきたすホットフラッシュは、更年期によく見られる症状です。自分ではどうにもできないと諦めないで、自分でできる対策を試してみましょう。

更年期の代表的な症状“ホットフラッシュ”の特徴は?

のぼせやほてり、発汗などがあらわれるホットフラッシュは、更年期症状の代表的な症状です。具体的には、以下のような症状が急にあらわれることが多いとされています。

・顔が熱くなる、赤くなる
・涼しい場所でも汗が止まらない
・上半身が熱くなる(のぼせる)

中には、外出中や仕事中に急にホットフラッシュが起きたり、大量の寝汗をかいて睡眠が満足に取れなかったり、着替えが必要なほどに汗をかいたりすることもあり、生活に支障をきたしてしまう人もいます。

更年期にホットフラッシュが起こる原因は?

ホットフラッシュにはさまざまな原因が複雑に絡み合っているものの、女性ホルモンが大きく関わると考えられています。

更年期は、女性ホルモンの分泌量が乱高下をくり返しながら減少していきます。この女性ホルモンの乱れが自律神経に影響を与えてしまい、血管の拡張や体温の調節をうまくコントロールできなくなることで、のぼせや発汗が起こるとされています。

また更年期の時期には、家庭内や仕事での変化などでストレスが増える人も多いことでしょう。自律神経はストレスによって乱れるため、更年期症状も強めてしまうと言われています。更年期の症状は閉経すれば終わるわけではなく、女性ホルモンの減少が続く閉経後5年程度は続くことも珍しくありません。

今すぐ改善したい!ホットフラッシュの対処法

ホットフラッシュは1日中起こる可能性があり、予測して対応することが難しいとされています。

急にホットフラッシュの症状(のぼせ・ほてり・大量の汗など)が出たら、物理的に涼しくすることが効果的。ハンディファンや扇子を持ち歩く、エアコンの効いた部屋に行く、冷たい飲み物を飲むなどして体と心を落ち着かせましょう。

ここでは、一般的にホットフラッシュの対策として推奨される方法を紹介します。

みんなのホットフラッシュ対処法

全国の40〜65歳の女性300人に“更年期の症状に関する調査”を独自に行ったところ、160人は更年期に何らかの症状があり、そのうち101人がホットフラッシュの症状を感じていることが判明。

さらに、効果のあった対処法(複数回答あり)を聞いてみたところ、第1位は“通気性のよい服を着る”であり、43人が実践していることが分かりました。また、第2位は“ハンディファンや扇子を持ち歩く”、第3位は“深呼吸や腹式呼吸をする”と続きます。

多くの人が手軽な方法でホットフラッシュの対策をしているので、ぜひ実践してみましょう。

ライフスタイルの見直しをしよう

更年期症状があらわれる原因は複雑ですが、気になっていることやストレスの原因となっていることは、ひとつずつ見直していくことが大切です。

更年期は子どもの受験や巣立ち、親の介護、パートナーとの関係性の変化、責任ある立場への昇進など、プレッシャーやストレスがかかるさまざまなライフイベントの時期と重なります。

自分の体が変化していることを自覚し、更年期を機会にライフスタイルの見直しをしてみるのもおすすめです。

規則正しい生活

自律神経を整えるには、規則正しい生活を心がける必要があります。早寝早起きがおすすめですが、1日のリズムを一定にして質のよい睡眠をとることが何よりも大切です。

まずは寝る時間と起きる時間を決めて、規則正しい生活を心がけましょう。朝起きたら日光を浴びて、布団に入る時間を毎日ある程度一定にするとリズムを作りやすくなります。また、ホットフラッシュで夜に目が覚めてしまい日中に眠気がある場合には、15分程度の昼寝をするとよいでしょう。

日中は活動し、夜はリラックスするようにメリハリをつけることが大切です。忙しい場合でも、深呼吸やツボ押しなど、自分なりのリラックス方法を見つけてみましょう。

バランスのよい食事“エクオールにも注目”

健康的な生活には、バランスのよい食事が不可欠です。更年期だからといって“これだけを摂ればよい”という栄養素はありません。三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)を中心にビタミン・ミネラルも意識して、バランスのとれた食事を心がけましょう。

女性ホルモンと似た働きをすると注目されている栄養が、大豆に含まれるイソフラボンです。イソフラボンが腸内細菌によって分解されてできる“エクオール”が、女性ホルモンと似た働きをすることで知られています。

ただし、腸内でエクオールを作れるのは50代女性では2人に1人だけ。エクオールを作れない人はサプリメントで補うこともできますが、エクオールの目安摂取量は1日あたり10mgとされているので、摂りすぎにも注意が必要です。

適度な運動

更年期でゆらぎやすい体調を整えるために、適度に運動を取り入れるのもおすすめです。意識して運動する時間をつくることで、運動不足の解消やストレス発散にもつながるでしょう。

ウォーキングやヨガなどの適度な運動を、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。リラックス効果も実感したい場合には、瞑想もできるヨガが特におすすめです。

症状がつらいなら婦人科での治療もおすすめ

ホットフラッシュで夜も眠れないなどのつらさを感じる場合には、婦人科での治療も検討しましょう。治療法のひとつであるホルモン補充療法(HRT)は、ホットフラッシュに対しての効果が高いとされています。

ホルモン補充療法(HRT)では、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを飲み薬や塗り薬、パッチ剤などで補充していきます。その他の治療法として、漢方薬が用いられることもあるでしょう。更年期治療の効果は個人差が大きいため、医師と相談しながら自分に合った治療を進めていくことが大切です。
婦人科への通院は1〜3ヵ月に1回が一般的で、頻繁に通う必要はありません。更年期だからと我慢せずに、まずは気軽に相談してみましょう。

この記事の監修者

クレアージュ東京 レディースドッククリニック 婦人科顧問|大島 乃里子 医師

—   プロフィール  —
婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医でもあり、思春期から老年期までの女性の生涯におけるヘルスケアを担う。一人ひとりの患者さんに向き合った治療を行っている。

—   経歴  —

医学博士

日本産科婦人科学会専門医

日本婦人科腫瘍学会専門医