収録を終えた宮﨑さんにインタビュー。家族を振り回した父と、そんな父に複雑な思いを抱えてきた息子・陽介ギフレさんを見て、どんなことを感じたのでしょう。

――今回は『ザ・ノンフィクション』初の3話連続放送です。映像を見た感想はいかがですか?

これまで何度も『ザ・ノンフィクション』の“語り”を担当させていただきましたが、今回はどう言葉にしていいものか分からない…今までで一番難しいです。(インタビュー時点では2話まで収録のため)3話の結果を知らないというのもありますし…。その分、今まで以上に、物語に客観的に向き合えたかなとは感じています。

――宮﨑さんは、多くの反響を呼んだ、ゲーム芸人・フジタさんと父の物語「あの日 僕を捨てた父は」シリーズの“語り”も務めましたが、「言葉に表すのが難しい」という感覚は、その時より強いですか?

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はい。フジタさんのほうがもう少し言語化できました。フジタさんの気持ちもわかるけれど、お父さんの気持ちもわかるという共感があったのですが、今回はなぜか誰の気持ちも掴みどころがないといいますか。

――陽介ギフレさんの父は各方面で“トラブルメーカー”でしたが、慕われてもいました。どんな印象を受けましたか? 

生前のお父さんが映っている映像は、陽介ギフレさんが撮った、寝床にいるわずかな時間だけで、あとは昔の写真がほとんどだったので、お父さんのことがあまり見えてこなくて…それが「どう言葉にしていいか分からない」と思った理由の1つかもしれません。

私たちは、陽介ギフレさんの視点を通してお父さんを見ています。お父さんのご友人が思い出話を語る場面もありましたが、それもご友人たちのフィルターを通してのお父さんですし。

お父さんに直接聞くことはもうできないけれど、本当は何を思っていたのか…お父さんは日記にいろいろ書き記していましたが、日記の存在もまた、本心の想像をより難解にしているのかもしれないと思いました。

――陽介ギフレさんと、父の行きつけの居酒屋さんの店主が、父の思い出話に花を咲かせるシーンが印象的でした。店主は、陽介ギフレさんに生前の父と重なるものを感じたのかもしれません。

陽介ギフレさんは相手が年上の方でも関係なく、誰に対してもフランクで、人の懐に入っていくのがとても上手だなと思いました。それでいて相手を嫌な気持ちにさせないのは、きっとお父さんから受け継いだ特技なのかもしれません。お父さんの昔の写真も、陽介ギフレさんと雰囲気がとても似ていると感じました。

――サブタイトルの言葉「炎の中で死んだ父」には重々しい印象もありますが、映像には、思わずクスッと笑ってしまう場面もありました。

芸術の専門家の方が、お父さんの絵を見て「超一流だよこれ」「コレクターにとってよだれが出るよう」と褒めながら、「でもコレクターいないから」とつぶやく場面が好きです(笑)。

ナレーションを読んでいても、重い感じはしませんでした。大変だけれど前向きに進んでいく陽介ギフレさんのお人柄が、重く感じさせなかったのかもしれませんね。

予告動画

YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。11月17日(日)14時~「炎の中で死んだ父を僕は知らない1~遺された絵画と借金と~」

配信スケジュール

10月27日、11月3日放送「二丁目に生きて」前・後編(語り:松本まりかさん)が11月17日まで、TVerFODで無料配信されます。

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