――2人は初共演ですが、お互いの印象を教えてください。

北村：明日海さんは100点！僕は、ものを作るときって、まずは自分を開放することがすごく大事だなと思っていて。ちゃんと心で話せるというか。明日海さんはもう今の段階で、すごく話しやすいですし、一緒にいい作品を作っていけそうだなと思っています。

明日海：今の段階で…開幕する頃には、北村さんにピリッとした空気を出されているかも（笑）。

北村：大丈夫です、そんなことはないですよ（笑）。

明日海：私はどちらかというと、人と接するときに「失礼なことをしてしまってないかな」とか「今、ご機嫌いかがかな」とか、いろいろ考えてしまうタイプなんです。でも北村さんは、私みたいな未熟者にもやさしくオープンに接してくださるので嬉しいです。

北村：いやいや、明日海さんは大先輩ですよ！芸能の世界に長くいるのは僕のほうかもしれませんが、舞台経験は明日海さんのほうがずっと多いですから。しかもそこ（宝塚歌劇団）でトップを極めて。

僕は正直、舞台は変な緊張を感じて、いまだに苦手意識があります（苦笑）。観客の皆さんから「あなた、できるの？」と見られているように感じてしまう、あの空気に慣れないです。皆さんもっと前のめりで、食いつくように見てくれたらいいのに。

明日海：「ぜひ前のめりでご覧ください！」って、このインタビューの見出しに書いてもらうか、劇場の開演アナウンスで流しましょうか（笑）。

北村：（笑）。

明日海：でも私も、初めて参加するお稽古や映像の現場では、「どのぐらいできるんだ？」と思われているように感じることもあります。

――稽古〜本番と過ごす時間が増えるなかで、お互いに伝えておきたいことはありますか？

北村：稽古はどうしても途中で行き詰まることもあると思いますが、僕は基本、すぐ前に進むタイプです。あとは、あの…飲み過ぎないように気を付けます（笑）。

明日海：大事ですよね、そういうリフレッシュも（笑）。

北村：たまに、リフレッシュがメインになってしまうこともあるので（笑）。まぁ、こうやっていろいろ言っていますが、「自分は人より遅れている」という気持ちで、やる事はちゃんとやらないといけないと思っています。学べるだけ学んで、そのために休めるときは休んで、いいものを作りたいです。あと、伝えておきたいこと…。

明日海：ビシバシやります、とか…？

北村：いやいや、ないない（笑）。でもね、僕はよくやりますけど、「俺はこう演じるけど、あなただったらどうする？」と、いろいろな人に意見を聞きたい。同じことをやっても、人それぞれのフィルターを通すと絶対一緒にはならないので。

映像の現場もそうですが、日本だと「NGを出さないように真面目にやらなきゃ」という空気を感じます。でも海外だと「こういうのやってみよう！」って、部活とか遊びの延長みたいにやっている。これこそが本来あるべき、“芝居を楽しむ”ということなんだろうなと思います。

舞台の成功は、お客さんが大勢入るだけではなくて、自分たちが「成功した」と思えることも大事だと思います。今回も、楽しむことをなるべく忘れず、みんなで気軽に話し合いながら「成功した」と思える場を作っていきたいです。

撮影：河井彩美
ヘアメイク：松本幸子（北村一輝）、中村未幸（明日海りお）
スタイリスト：櫻井賢之 casico（北村一輝）、大沼こずえ eleven.（明日海りお）
衣裳協力（北村一輝）：コート、ジャケット、パンツ、シューズ（全て参考商品）／アミ（アミ パリス ジャパン）、その他／スタイリスト私物