ルール③:作業中の食事はスープ
幼少期をドイツで過ごした彼女。オペラ好きの父を持ち、幼い頃からピアノを弾き続け、27歳のときにバンドデビュー。しかし、「バンドの方が、正直鳴かず飛ばず」だった。そんなときに、インストゥルメンタルの作曲依頼が来たという。
するとその曲が、映画監督・市川準の耳に留まり、劇中音楽を任された。それ以来、活躍の場はアニメなどにも広がっていった。
そんな彼女が曲作りをするときには、作曲のことで頭がいっぱいになる。宅配などでメニューを選ぶと余計な満足感を得てしまうため、野菜などが入ったスープを作り、お腹を満たす。
これについて、スタジオの尾崎世界観は「『余計な満足感を得たくない』ってカッコいいですね」と、感想を漏らした。過去に、劇伴(劇中)音楽を手掛けたことのある尾崎に、YOUが普段の音楽との違いについて尋ねると、「10やっても3くらいしか伝わらないだろうなという感覚で、気持ちを込めすぎないようにしましたね」と、回顧。
するとYOUから、すかさず「100%ではやっていないということですね」とツッコまれ、スタジオからは笑いが…。しかし、尾崎は「(作品やストーリーと)合わせて100にしようと思ってましたね」と、上手く回避し「あぶねぇ…」とつぶやいていた。
ルール④:歌詞に意味を持たせたくないときは造語を使う
レコーディングでは、1日目に生演奏を収録、2日目に弦楽器のパートを収録というスケジュールで行われ、3日目にはコーラス録りが行われた。
すると、収録現場で梶浦が歌詞を変更する一幕が…。「イオリア」というフレーズでは、音が上がりにくいため、彼女が「イソリア」という造語を提案し、どちらにするかは歌い手の選択に委ねた。
その理由について「歌詞を造語で作ると激しいシーンでは、激しい歌詞に聞こえてきたり、悲しいシーンでは悲しい歌詞に聞こえてくる。歌詞の意味は、見てくださる方の想像に任せた方がいい」と、作曲家ならではの技法について語った。彼女が生み出すその造語は、ファンの間で“梶浦語”と呼ばれ、親しまれている。