アドリブを見返して「恥ずかしい!」
――じゅんは陸上選手の中学生、軽音楽部の高校生、クリーニング店の店主など、さまざまな「甲野じゅん」として、りのの前に現れます。どう演じようと思いましたか?
最初は、全然違う人物として演じ分けようと思っていました。でも、たぶん監督はそれを求めていないだろうと感じて、自分の中でどんどん研ぎ落とされていって、気づけばもう素の僕に近くなっていました。丸裸にされたような。どの「甲野じゅん」を演じていても、僕自身がしゃべっているような感覚で。恥ずかしかったです。
――りのと仲睦まじく話すシーンは、アドリブもあったそうですね。素の佐藤さんが垣間見えるようで、リアルな感じがキュンとします。
ありがとうございます。でも、自分で映像を見返すと「俺はなんてアドリブが下手くそなんだろう!」って、もう恥ずかしくて。「勘弁してくれ!早送りしてくれ!」と思いながら見ました(苦笑)。
――そういったところも、松居監督の演出のひとつなのでしょうか?
たぶんそうだと思います。撮影現場では、それが監督の狙いだとはまったく思わず、「これでいいのかな?」と思いながら演じていました。出来上がった映像を見たり、こうして取材で話したりするなかで、気づきました。