<大東駿介 コメント>

麻生(大東駿介)

――現場の雰囲気はいかがですか?

僕は、毎回現場に入っているわけじゃないですけど、大きく美智留パートと麻生パートに分かれている気がします。僕は、ただただ美智留を追いかけているような。実際、内田さんと僕が一緒になるシーンはほとんどなくて、ちょっと美智留に恋焦がれている感じがしますね。あと、現場の空気という点では、松木創監督のエネルギーで現場を引っ張ってくれています。松木監督とご一緒させていただくのは、今回で2回目ですが、いろいろと託してくれていると感じています。

――主演の内田理央さんの印象は?

役柄的なところもあり、内田さんとはあまりしゃべらないようにしています。現場では多くしゃべっていないですが、圧倒的な目力というか、第一印象はパワーがある女性だと強く感じました。

――麻生役が決まったときは、どう思いましたか?

すごく楽しみでした。原作の小説もそうですが、「麻生」って「麻生」なんですよね。下の名前がついてない。

だから、美智留や恭子といった名前のある役と違って、どこか存在が明確じゃないところがあるのかなと。

ある種、麻生はストーリーテラーのような客観性を持った役だと思っていて、そういう客観性を、自分の中で意識していますね。

そして美智留とは何者だ、と一番思っている人間でもあるので、それが視聴者と同じ目線になれるように意識しています。

――松木監督とはどんな話をしましたか?

全9話を時系列で撮影しているわけではないので、どういう距離感で、どういう熱量で、どういうふうに物語が展開しているかということは、その都度話しています。

また、美智留のことを麻生がどう思っているのか、どう感じているのか、その芯に秘めた熱量みたいなものは松木監督と共有しています。

麻生(大東駿介)

――役作りのためにしたことはありますか?

小説のような立ち位置というのが、役作りの材料になっていると感じます。起こる出来事と情報だけで美智留という人物を想像していくことは、小説を読んでいることに近い気がしています。

自分も小説を読んでいるかのような感覚があって、本来、刑事ってそういうものなのかなとすごく感じました。

――大東さんと麻生に似ているところはありますか?

上司に何も言わず、やりたいことをやろうとするところは麻生と似ていますね。たまに、僕も言われます。ちゃんと報連相(=報告、連絡、相談)してねと(笑)。

麻生が美智留の捜査の始めたのは、一枚の名刺がキッカケですが、そういうささいなところから、何かを発見して可能性を見つけていくというところも割と似ていますよね。

僕も、自分の興味や視点というものをすごく大切にしているので。

報連相せず注意されたエピソードですか?例えば、番組の撮影でキャンプ用品のお店に行ったら、後日、自分でそのお店の工場まで行ってしまったり。個人的に興味がわいてしまって(笑)。

工場を見学して、さらに社長と会って話してとか勝手にやっちゃう(笑)。お店や工場に事務所からもお礼を伝えなければいけないので、ちゃんと事務所に報告してねと。

聞きたいことがあったら聞くし、聞きに行ってしまいます。「なんでだろう?」って思っている時間が好きじゃなくて、それだったらもう行っちゃえと。

一つのことに集中すると、そこに突き進むみたいな。探究の熱量というのはすごくあると思います。

――もし目の前に美智留のような悪女が現れたらどう思いますか?

客観で捉えるか、主観で捉えるかで大きく違うと思います。

例えば、美智留に出会った人たちは美智留を崇拝していたり、感謝しているじゃないですか。ということは、彼女と出会えたことをとてもうれしいことだと感じている。

それを客観的に見ている人は、とんでもない悪女だと捉える。その視点の違いはあると思います。

だから、僕が美智留のような女性と出会っているとしたら、僕にとってはすごく素敵な人だけど、それを客観的に見ていた人にとっては悪女だということはあるかもしれない。

でも、世の中のほとんどのことはそうじゃないかと思っています。ただ、美智留の場合は、そこに欲望と命が関わっているから怖いというだけで、実際に人と出会うというのは、そういうことなのかなと思います。

あいつはやめとけという基準は、難しいですよね。そういう人に転がされるのが好きな人もいますし。

僕は、好きだとは思いませんが、実際に転がされたらドキドキするんじゃないですか(笑)。

でも、美智留のすごいところは、女性も魅了しているというところですよね。視点が違えば善も悪も変わるし、何をもってそれを罪とするのかというのは難しいなと思います。

――今作にはさまざまな欲望を持った人物が登場します。大東さんの、どうしても捨てられない欲望を教えてください。

“欲”の漢字違いですが「森林“浴”」ですね。

森林浴をしないと心身のバランスとれないので、休日は山に行きます。以前は、作品が終わるたびに森林浴に行っていましたが、ここ最近は暑いというのもあってよく山にいますね。

拠点を山にして仕事に行った方がいいのか?休日に山に行った方がいいのか?どちらがいいだろうと悩むくらい森林浴を欲しています。

普段は、山梨県や静岡県の山に行きますが、ちょっと時間ができたら、福井県まで足を運びます。東京から200kmくらいですかね。

アウトドアは、好きです。キャンプという軸で今は動いていますけど、普通に自然の中での生活というのは憧れますよね。

麻生(大東駿介)

――これまでの撮影で印象的なシーンを教えてください。

美智留と恭子が過ごした中学校を訪ねるところが強く印象に残っています。橋のシーンで、すれ違う女子生徒に、まだ見たこともない美智留の姿を重ねるというのは、自分の頭の中で物語が育っていると強く感じました。

だから、麻生は美智留という物語の一番の読者であり、彼女を一番探し求めている存在なんだと。

そのシーンがとても印象に残っているし、あそこでキャンプしたいなとも思いました。あそこ、素敵な場所でしたよね(笑)。

――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。 

やっぱり、圧倒的な蒲生美智留の存在感じゃないでしょうか。特に青木さやかさんの回(第2話&第3話)が一番好きです。

ちょっと『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造っぽいですよね。僕としては『笑ゥせぇるすまん』を見たときの、すごく恐ろしいけど、つい指の隙間から見てしまう感じに似ている。

身近な恐怖や人間の欲の暴走とか、誰もが抱えている危険性や邪悪性みたいなものが見えてくるからワクワクしちゃう。

全9話を通して、さまざまな人間の欲望が出てきますが、他人事だけど自分事にも感じる、そういう恐怖を感じてほしいと思います。