そして、最後の「05絵描き少女と子どもたち-未来への恩返し」では、さまざまな衣装をまとった犬のぬいぐるみがずらっと並べられています。実はこれ100人の子どもたちが、コシノヒロコさんのコレクションの残った布から、自由に素材を選んで、自らデザインし、製作したもの。
どの作品にも、素材の取り合わせ、色使いに個性が出ていて、あれにしようか、これにしようか、と、作っているときの子どもたちの目の輝きが想像できます。
筆者が面白いな、と思ったのが、帽子には目玉焼き、肩にはトマト、スカートにはハムレタスサンド、バッグにはバターの溶けたトーストをデザインした、言わば“朝ごはんルック”!なかなか大人では思いつかないアイデアです。
「最近、『デザインはAIがやるんだよね』みたいな考え方がありますが、大量生産であっても人間の持ってる本質の感性の部分が生かされることが当たり前なのです。それに、今の若い人たちは何かをやりだしてもすぐ諦めてしまう傾向がありますが、ひとつのものに対して自分の感性を生かして自ら作ることの大切さを伝えたいのです」と語るコシノヒロコさん。
そんなコシノヒロコさんは、自身の美学を育んでくれた祖父と母、そして未来への恩返しとして、2024年から「ネクスト・クリエイション・プログラム こどもファッションプロジェクト」の監修をしていて、子どもたちが作った犬のぬいぐるみの衣装もその成果の一環です。
「つくってみたい服」にもそれぞれの感性が生かされていました。小学2年生の女の子の作品は、シンプルな赤いドレスかと思いきや、デザイン画には「ふだんぎに大きなリボンやうしろにふりふりをつけてドレスにみせています」というコメントがあり、普段着をおしゃれ着に変身させる作品だとわかりました。これなら学校の後でも、お出かけに直行できますね。
「夢見るパジャマ」を考え出した小学3年生の男の子はファッションデザイナーになるのが夢で、国旗模様のポケットの下にいくつかある「T」のアップリケは将来の自分のブランド名だとか。未来は明るいです。
コシノヒロコさんは展覧会の内覧会でライブドローイングを披露されたり、とても90歳目前とは思えないエネルギッシュな方で、インタビューの終わりに「サインしましょうか?」と筆者の図録にさらさらっと絵を描いてくださいました。
「人間が着るという『服』というの世界をどこまで可能性をもって表現できるかいろいろな角度から見ていただけるのではないかと思う」と語るコシノヒロコさんの、ファッションとアートが一体化した展覧会は7月26日までです。
<展覧会概要>
展覧会名:(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ー新説/真説 コシノヒロコー
会場:東京都現代美術館 企画展示室 B2F
会期:~7月26日(日)
休館日:月曜日(7月20日は開館)、7月21日(火)
開館時間:10:00-18:00 (展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般/2,200円、大学生・専門学校生・65歳以上/1,500円、中・高生/800円、ペアチケット(一般2枚)4,000円、小学生以下 無料
展覧会オフィシャルサイト:https://hirokokoshino.com/unknown/
主催:コシノヒロコ展実⾏委員会
共催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法⼈東京都歴史⽂化財団)
コシノヒロコ公式SNS
X:@HK_unknown_ (https://x.com/HK_unknown)
Instagram:@koshinohiroko_official (https://www.instagram.com/koshinohiroko_official)
