次の「04 テキスタイルへの情熱 -創作の核心」は実に画期的なコーナーです。ただでさえテンションが上がる真っ赤な空間に、ショップのようにラックにずらっと並ぶ素敵な洋服は、すべてファッションショーでモデルさんが着用したコレクション。何と、それらに自由に触れることが許されているのです。しかも、その数120点!何という太っ腹!
「いいものは触ってみて、初めてその良さがわかるのです。洋服は人間が着るので傷みもするし、汚くもなる。それは自然のことなので、ただ置いておくより、みなさんに作品をつぶさに見ていただいて、喜んでいただければ」というコシノヒロコさんの信念から実現しました。
来場者の「本当にいいの?」「え~、うれしい!」という歓喜の声に促され、筆者も一目でビビッときた素敵な黄色のファードレスに触れさせていただきました。
見た目以上に“ふわっふわっ”な手触りもデザインも、これが約30年前(1997‐98の秋冬コレクション)の作品だとはとても信じられません。
説明書きには“北欧産の最高級ミンクSAGAミンクを黄色に染め上げた”とありました。「そんなミンクがあったのだ!」と勉強にもなりました。
虹のようにキラキラと輝くスカートは、日常ではお目にかかれないほどのきらびやかさで、思わず目を奪われます。
手に取ってみると驚くほど軽くてサラサラです。オーロラフィルムとチュールを貼り合わせた特殊素材で、光の角度によって表情を変える仕様になっているそうです。なるほど!それで虹のように見えたのですね。
コレクションでモデルさんが着ている写真も添えてあるので、ラックに掛かった状態だと細部までわからなかったトップスのイメージもわかりました。こちらも四半世紀前の2001年の春夏コレクションのルックですが、ピッカピカでした。
壁に飾られた写真で、モデルさんが着ているブルゾンとドレスのセットアップも発見!
ブルゾンはエナメル素材で、うろこのような凹凸が独特の光沢を作り出しているそうです。
ドレスは、ベースはメッシュ地で、シフォンテープの端に釣り糸に使われるテグスが入っているので、曲線が立体的になっているとか。ファッションを勉強している方には、素材にしろ、表現方法にしろ、ヒントの宝庫です。
コシノヒロコさんは「これだけの物を持ち合わせていても、それだけで教育はできません。いいものは触ってみて、そこで初めて『見た』という意識が強くなるのです。それで勉強になる。感動して、ファッションという形にするきっかけになると思うのです。子どもたちや若い人から見ても新鮮に見えるはずです」と次世代のためにも、この“触れる“という画期的な手法を取ったと語ります。
120点もありますから、誰もがそれぞれ手に取ってみたいコレクションに出会うことは間違いなし。コシノヒロコさんが提供してくださった貴重な機会を満喫しましょう。
