──本作は実話をもとにした作品です。この実話についての感想を聞かせてください。

北村:プロデューサーさんに、もともとあった「教師役をやりたい」という思いをお伝えして、どんな先生でいたいのかなど、いろいろとお話をさせていただいて。

そのなかで、「大人が答えを与えるようなことはしたくない」と言っていたんです。生徒とともに歩んでいくような物語がいい、と。それは、僕がこれまで児童・生徒役で出演してきた作品に“生徒ファースト”で物語が進むものが多かったからかもしれません。

そこで原案となる『さばの缶づめ、宇宙へいく』を読ませていただき、生徒たちと宇宙食開発をした小坂(康之)先生こそ、自分が考えていた教師像だなと思いました。

神木隆之介 サバ缶を宇宙に飛ばした実話に「ひたすらに感動」

──どのような部分に魅力を感じましたか?

北村:撮影が始まって1ヵ月ほど経ちましたが、朝野って1人では何もできないんですよね。朝野を追いかけていても物語が始まらない(笑)。それは常に生徒が前にいて、生徒たちが輝いているドラマだからなんです。

裏ではJAXAの方に話をつけたり大人として頑張るけど、学校という場では生徒の背中に手を添えるとか、見守ることしかできないです。でも、僕はそこにドラマとしての魅力を感じました。

夢を叶えたことより、夢に向かって行く道を一緒にどう歩んできたのかという部分に感銘を受けましたし、この話が実話というところが僕のなかでは大きなポイントでした。

──神木さんはいかがですか?

神木:僕はこの原案を読んだとき、ひたすらに感動しました。高校生たちのパワーもですが、先生と生徒の引っ張ったり、引っ張られたりという関係性がステキだな、と。何より、夢や意志や思いが受け継がれて、叶えられたという、こんなにステキな物語は見たことがないなと思いました。

宇宙食開発にかけた十数年のなかで、悔しい思いをしたまま卒業した方々がいらして。でも、自分たちの代で夢を叶えられなかったとしても、後輩たちが絶対に叶えてくれるという確信を皆さんもっているんですよね。その受け継がれていく思いに感動しましたし、元気をたくさんもらいました。

あとは、生徒の皆さん、教師、JAXA、そして地域の方々が心を一つにした結果、実際に宇宙まで届いたんだなと思うと、今自分がやっているお芝居などをもっと頑張ろうと思いました。

──北村さんは教師役へ強い思いを持っていると、制作発表などでも語っていました。生徒役キャストの皆さんとの撮影で、感じていることを聞かせてください。

北村匠海『サバ缶、宇宙へ行く』での初教師役に意欲!寺尾聰、木村拓哉ら“先生”から学んだバトンの継承を誓う

北村:僕は今まで、妻夫木聡さん、長谷川博己さん、寺尾聰さんと、「学校の先生と生徒」とは関係性が少し違いますが木村拓哉さんという“先生”と出会ってきました。その先生方は、言葉ではなくて背中を見せてくださり、そこから自分で吸収していく感じだったんです。

でも、このドラマにおける生徒と先生の関係性はちょっと違っていて。朝野は大人だからこそ「あれはダメだ」「これはダメだ」と立ち止まったり、落ち込んだりするのですが、ふと振り返ると生徒たちはすでに前を向いて歩き始めているんです。その生徒の姿がすごく眩しいドラマです。

そういう作品なので、僕は最初に「どんなシーンでも、些細な悩みでも、話し合いましょう。なんでも相談してください」と生徒役の皆さんに伝えました。そうしたら、本番のカットがかかるたびに、入れ代わり立ち代わり質問に来てくれて。

シーンのこと、役柄のこと、演技というものについて、オーディションについてなど、本当にいろいろな話をしてくれるので、それがすごくうれしいです。

みんなの悩みは新鮮ですし、毎日相談を受けながら、自分も言語化することで気づくこともあって。役柄としては“先生と生徒”ではありますが、同じ目線に立ってものづくりができているなと感じます。

教卓からみんなを見ていると、何にトライしようとしているのかとか、わかるんですよね。初めてのドラマ出演で思うように表現ができなくて悩んでいる子もいます。そういう子には自分から近寄って声をかけて、「こういうこともできるよ」と提案をすると、自分なりに落とし込んだ表現をしてくることもあって。セリフの有無にかかわらず、みんなにチャンスがあるドラマになるといいなと思っています。

最初はどうなるのか不安もありましたが、僕が思い描いていたクラスになっていて、それが『サバ缶、宇宙へ行く』らしさとして視聴者の方にご覧いただけたらうれしいです。