2011年3月11日に発生した東日本大震災。
あれから15年たった今も、人の温かさを感じられる場所を守り続ける人がいます。

宮城・東松島市で暮らす武田文子さん。
震災後、仮設住宅で誕生したサルのぬいぐるみ『おのくん』を、今も休まずに手作業で作っています。
そこでは、ぬいぐるみを通して、“人とのつながり”が紡がれていました。

1足の靴下からサルのぬいぐるみに…東松島市の仮設住宅から誕生した『おのくん』

東松島市にある「陸前小野駅」前に構えられたプレハブで、温かく迎えてくれた武田さん。

その建物の中には、足の長いものや手のひらに乗るほどの小さなものなど、カラフルなサルのぬいぐるみが棚にずらりと並んでいます。

世界防災フォーラムの様子 提供:空の駅プロジェクト

実はこのぬいぐるみ、『世界防災フォーラム』のマスコットキャラクターに就任するほど認知されていて、全国各地から毎日この場所を訪れる人がたくさんいます。

武田文子さん:
小野駅の仮設住宅だから、じゃあ『おのくん』って名前にしようって。簡単に3分で決まった。意外とそんなもんですよ(笑)

笑いながら話す武田さんが手にしているのは、“ソックモンキー”と呼ばれるぬいぐるみで、その名も『おのくん』。

靴下を材料に作られたもので、誕生した場所「小野駅前応急仮設住宅」にちなみ、生みの親である武田さんがそう名付けました。

この『おのくん』は震災後、仮設住宅で暮らしていたお母さんたちが、手作りしたのが始まり。

1足の靴下から、片方で胴体、もう片方で耳・口・手・尻尾を作り、それを武田さんたちが一つ一つ丁寧に縫い合わせて『おのくん』が完成します。

武田文子さん:
製品のようにクオリティーが高いわけでもないし、一個一個みんな味が違うし顔も違うから。

完成した『おのくん』は、同じデザインの靴下から作っても見た目にそれぞれ違いが。
世界にひとつしかない特別感や、そのなんとも愛らしい表情から徐々に人気になり、その持ち主“里親”は、なんと世界に34万人以上。
誕生してからまもなく15年目になります。

お母さんたちによって、チクチク気持ちを込めて紡がれ続けてきた『おのくん』。
その誕生のきっかけは、震災後の仮設住宅での暮らしの中で感じた「何かに集中したい」という思いからでした。