渡辺ペコさんが描く世界観が好きだからこそ、プレッシャーを感じつつも「やるからには自分の表現を出したい」と作品に向き合ったという比嘉さん。
今回のドラマ『にこたま』で自身が演じた高野ゆう子という人物への思いを伺いました。
「自分も甘えちゃいけないと思って闘ってきた」演じる役柄に共感
――ご自身が演じた高野ゆう子は比嘉さんから見てどのような人物だと感じましたか?
まず、私は一度先入観なく原作を読ませてもらったときに、やっぱり高野ゆう子が一番好きでした。自立していて強い女性で、一見完璧に見えるけれど、内側はとてもナイーブで人に甘えられない。そういう脆さ、弱さを持つ女性だなと感じて、共感が持てました。
高野は原作だと全然顔色が変わらなくて、それを「クール」と一言にまとめたら簡単ではありますが、そうではないんですよね。彼女なりの葛藤や苦悩もやっぱりあって、それを人に甘えられないから、自分の中で自己解決する癖がついてしまった人なんじゃないかなと私は考えています。
作品の中で一番好きだという「高野ゆう子」を演じるにあたり、比嘉さんは人物像を深掘りすることで、より愛着が湧いたといいます。
高野が人に甘えられないのは、母親が忙しくて、愛情を十分にもらえなかった背景もあるんじゃないかと思っていて。私自身そこを深掘ってみたら、高野のキャラクターがどんどん浮き出てきたんです。
ただ冷たいわけではなくて、愛情のもらい方もあげ方も分からないから、これが彼女の中では普通だと思っていた。でも妊娠して、子どもができたというところから、彼女が不器用ながらにどんどん人間らしくなっていく過程が私はとても愛しく思えました。
だから、妊娠したことによって、幼少期のころの自分のトラウマにも向き合っていったのかなと思うんです。それくらい語らないからこそ深みがある、興味が湧く人だと思いましたね。
――そんな高野のキャラクターで比嘉さんが共感した部分はありますか?
私が共感できたのは、自分自身も高野と同じ長女で、早くに上京して、芸能の世界に20歳からずっといたので、どこか甘えられないというか、甘えてはいけないと思って闘ってきた時代があって。ゆう子を通して、もっと柔軟に、こうではダメと決めつけずに、気楽に生きたいなと思えたんですね。
自分のことだと俯瞰して見られないのですが、ゆう子を通して、やっぱり人は進化していくし、変わっていっていいんだと肯定してもらえた感じがします。そういう点でとにかく愛着がすごく湧いてきたので、演じるのも楽しみでした。
高野ゆう子の人物像を深掘りすることで、「甘えてはいけないと思って闘ってきた時代があった」と自身と重なる部分を明かしてくれた比嘉さん。そして、愛着の湧いたという役柄を演じるにあたり、“感情を入れない演技”に苦戦したことも語ってくれました。
