宮﨑秋人さん、朝海ひかるさんが“トー横”を舞台にした作品への意気込みを語りました。

11月13日(木)〜24日(月・祝)、東京・紀伊國屋ホールにて上演される、ワタナベエンターテインメントDiverse Theater 第2弾『Too Young』。

新宿・歌舞伎町「トー横」を舞台に、興信所の調査員・本郷(宮﨑)が、自ら命を絶った少女の母親(朝海)から「娘の死の真相を知りたい」という依頼を受け、やがて「トー横」に出入りする人々の心の内側に潜り込んでいく物語。

「Diverse Theater」は、ワタナベエンターテインメントがさまざまなクリエイター、プロデューサーとコラボレーションし、演劇の新たな可能性を拡げる実験的プロジェクトです。

宮﨑さんと朝海さんが、“正解”のない現代の社会課題に挑む本作への意気込みや、それぞれの役どころ、役者として現在感じていること、新宿という街への印象などについて語りました。

宮﨑秋人「みんなで考えましょう、と投げかける作品」

――本作は、劇団チョコレートケーキの古川健さんが脚本、日澤雄介さんが演出を手がけます。

宮﨑:プロデューサーから「どなたと作品づくりをしたいか」と聞かれて、以前『アルキメデスの大戦』でご一緒した古川さんと日澤さんのお名前を挙げました。お二人が快諾してくださったと伺ったときは本当に嬉しかったです。

左から)宮﨑秋人、朝海ひかる

――古川さん・日澤さんによるオリジナルストーリーで、新宿・歌舞伎町「トー横」を舞台にした現代劇ですが、当初からそういった構想だったのでしょうか?

宮﨑:その時点ではまったく決まっていませんでした。古川さんと日澤さんですし、やっぱり昭和初期の実在の人物や事件がモチーフになったりするのかなとも思ったんですが、いろいろなアイデアが出るなかで「あえて現代劇をやろう」という方向性にまとまりました。

朝海:その時点でもう、すごく意欲的ですよね。私も古川さん・日澤さんと日本の現代があまり結びつかないというか、そういう作品を拝見したことがなかったので意外でした。

宮﨑:まさしくいろんな挑戦が詰まった企画だなと思います。お二人がお得意な時代モノをやるのであれば、僕が劇団チョコレートケーキさんの作品に参加すればいいわけで。今回は「Diverse Theater」と銘打って、ワタナベエンターテインメントがお二人とタッグを組んでつくる意義を探していくなかで、現代の「トー横」を題材にすることになりました。

朝海:日澤さんはどんな作品でも人の感情や人間ドラマを大切にされる方だと思うので、私もついていくしかないという気持ちです。そして古川さんが脚本を書かれた作品への出演ははじめてなので楽しみにしていたんですが、お二人は本当にツーカーの関係で作品をつくっていらっしゃる。役者として、とても安心して船に乗れるなあと思いながらお稽古に励んでいます。

左から)宮﨑秋人、朝海ひかる

――物語は「トー横キッズ」である少女が、ビルから飛び降りて命を落としたことをきっかけに、カギに物語が進んでいきます。 脚本を読んでどのように受け止めましたか?

朝海:そうですね……やはり「重い」な、軽々しく感想を言える題材ではないな、というのが最初の印象でした。私自身、現代に存在する社会問題をドキュメンタリーチックに上演するというのはあまり経験がないので、これは大変だぞと思いましたね。

それに、顔合わせのときにプロデューサーさんや日澤さんが、「子どもだけの物語としてではなく、観劇された方みんなが共感してくださるように」とおっしゃっていたのも印象的でした。

宮﨑:この作品では「大人」もしっかり描かれているんですよね。トー横や歌舞伎町についての本を読んで、そこに出入りしている当事者のインタビューや生い立ちに触れて、「こういう子どもたちは実際にたくさんいるんだ」と感じました。

一方で、その親のほうに思いを馳(は)せることはあまりなく。ですが、古川さんは子どもだけでなく大人にもスポットを当てて、「これはみんなの話なんだ」という視点で書かれている。全員取りこぼさずに「みんなで」考えましょう、と投げかける作品だと感じました。