――演出家ではない素の錦織さんはどんな方ですか?

礼儀正しくてカッコいい大人です。頑固な部分もありますし、おしゃべり好きなところもある。皆さんがテレビなどでご覧になっているそのままの方です。

中山優馬 演劇好きが集まった“第十四期生”に感謝

――東京公演に向けてブラッシュアップしたいところはありますか?

脚本の力があるので忠実にお届けすればいいと思いますが、物語の中で生きている僕たち第十四期生の過ごした時間が明確に見えれば見えるほど、絆というものが立ち上がってくると思うんです。

「激動の時代の中でこの7人が生きていたのだ」と、その絆は稽古だけで深められるものではない。例えば、女性と子どもが座っていて、その子が女性を見る目で「2人は親子なんだ」と伝わるじゃないですか。そういうものって、脚本をなぞるだけでは生まれないんですよ。

そこを表現するのが俳優の仕事で、それは自分だけで完成するものではないので、公演数の多い東京の劇場で過ごす時間によって、絆がもっと深まっていくはず。第十四期生を演じる仲間ともそんな会話を合間にしています。

舞台『あゝ同期の桜』より

――中山さんのYouTubeチャンネルで稽古の様子を見ましたが、皆さんの気迫に圧倒されました。

今回はキャスティングも絶妙だなと思いました。ちゃんと演劇好きが集まっているからどんどん良くなっているし、皆のベクトルが同じ方向に向かっていることがすごくありがたいです。

全員が「自分の選択は合っているのか?」と疑問をもち、もしかしたら、明日になるとまた違う答えが見えてくるかもしれない、それをとり逃さないように備えておこうという気概を皆がもっているので、もっともっと作品がいいものになると信じています。

――東京公演を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

80回目の終戦記念日を前にして、戦争の犠牲になった尊い命に思いをはせるなら、こんな悲惨なことがあったというより、当時を懸命に生きた若者たちの命のきらめきに観に来ていただきたいです。劇場でお待ちしています。

<公演概要>

『あゝ同期の桜』

8月13日(水)~19日(火)日本橋三越劇場

原作:榎本滋民 脚本:上田浩寛
演出:錦織一清

出演:中山優馬/石川大樹、坂口碧、片岡滉史朗、伊藤セナ、新井元輝、渡口和志、岡澤由樹/岩永洋昭、渋谷天笑、柳美稀、武藤里梨、中久喜文音、板垣桃子、錦織一清