──俳優デビューしてから確立した、お芝居をする際のルーティンはありますか?

『最後の鑑定人』の現場で気づいたんですけど、撮影が始まる前によく屈伸しているみたいで。たぶん、力みすぎないように、力を抜くためにやっていると思うのですが、完全に無意識だったんですよね(笑)。

──なぜ急に気づいたのでしょうか?

長セリフとか、緊張するシーンが多くて、力が入ってしまっているなと思って何気なく屈伸をしたんです。そうしたら「あれ?前の現場でもこれやってたかも」と急に気づきました(笑)。

屈伸というちょっとした動きだけど、体的には変わるので、本当に無意識だったんでしょうね。でも、今回気づいたので、これから力を抜く必要があるときには意識的にルーティンとして屈伸をしていきたいと思います。

中沢元紀 鈴木亮平から教わったこと「皆さんの力があって一つの作品が出来上がる」

──これまでに出会った人や作品で、大きな影響を受けたものはありますか?

やっぱり、『下剋上球児』(TBS)での鈴木亮平さんとの出会いは大きかったですね。甲子園を目指す野球部の話で、エキストラさんがいないと成立しないドラマだったのですが、集まってくださったエキストラさんへの対応が本当にステキで。

撮影が始まる前に「今日は暑い中お集まりいただきありがとうございます」と、進んでマイクを持って声をかけていて。その姿を見たときに、ドラマは自分1人で作るものではないし、キャスト、スタッフ、集まってくださった皆さんの力があって一つの作品が出来上がるんだということを改めて実感しました。

あの亮平さんの姿勢は見習いたいし、忘れちゃいけないな、と。主演でなくても周囲にそういう気遣いができたら、現場の空気にもつながると思うので、僕もスタッフさんやキャストの皆さんへ積極的に声をかけるようにしています。

──それだけ影響を受けているのは、作品内で先生と生徒という関係性だったこともあるのでしょうか。

確実にあると思います。『下剋上球児』の現場では、亮平さんも、(ともに先生役を務めた黒木)華さんも共演者ではありましたが、背中を見せてくださる“先生”でしたし、僕たちも“生徒”でしたから。劇中でも、撮影以外の場所でも、役者の先輩としていろいろなことを教えていただきました。

──その後、鈴木さんに会うことはありましたか?

それがなかなかお会いできていなくて。作品の集まりがあっても、亮平さんはお忙しいようで、タイミングが合わず…。

でも、もしまたご一緒できる機会があったら、役者としても人としても成長した姿をお見せしたいです。何よりお会いしたい。ご一緒できるように頑張ります。

──今年も残すところあと約半年。年内にやっておきたいことはありますか?

ありがたいことに今年はお仕事が続きます。初めて挑戦することもあるので、しっかり自分のコンディションを整えて、作品に臨みたいなと思っています。今は、そのことしか考えられないですね。とにかく、目の前にあるものを一つひとつ一生懸命にやっていきたいです。

──ずっと作品が続いていますが、息抜きはできていますか?

息抜きしていますし、お芝居はお仕事ですが好きでやっていることなので、苦ではないんです。作品や役について考える時間も好きだから、全然まいっていることはないです(笑)。

──今一番のリフレッシュ方法はなんですか?

料理ですね。昨日は、野菜をとりたいなと思ってミネストローネを作りました。野菜を刻んだり、煮込んだりしているときは何も考えないので、それが僕のリフレッシュになっていますね。ミネストローネ、すごくおいしかったです(笑)。

撮影:今井裕治