──沢村さんは来年デビュー30周年を迎えますが、お仕事をする際に大切にしていることはありますか?
今回『愛の、がっこう。』で演じているホストクラブのオーナー・松浦小治郎は、「エンタメを大事にしている役にしてください」とお願いしています。その理由は、僕の中で、人を喜ばせる数と収入は比例するという思いがあるからなんです。
僕は仕事をするうえで、どんな悪役であろうと、できるだけ画面の向こうにいる人たちを楽しませたいと思っていて。ドラマ自体もですが、自分の役を楽しんでもらえたら、後々仕事も増えていくのかな、と(笑)。

そう思いながら仕事をしていると、ちょっと嫌なことがあっても「いやいや、こんなところで拗(す)ねてたら、画面の向こうの人に伝わっちゃう」と思い直すことができるんですよ。だから、「人を喜ばせること」は意識していますし、今のところうまくいっているので、しめしめです(笑)。
沢村一樹が目指す人としての“理想像”は?「若いときはありましたけど…あきらめました(笑)」
──今後やりたいことはありますか?
来たものに応えるというスタンスでやってきたので、役や作品に関して「これをやりたい」ということは基本的にないですね。いただいたものに取り組むだけです。
──では、人としての理想像のようなものはありますか?
若いときはなんとなくありましたけど…もう、あきらめました(笑)。無理だなと思って。
──どういう理想を掲げていたのですか?
田中みな実さんが、体調を崩した木村文乃さんのためにビタミン剤を差し入れたりしたことが話題になっていましたが、僕もそういう人間になりたかったんです。でも、そんな気配りができないって、20年くらい前にはっきりわかってしまって(笑)。だから、あきらめました。
それからはもう、何か理想を追うよりも、なるままに生きていこうと思っています。

撮影:河井彩美