あの日、和平が伊佐山良子市長(柴田理恵)に伝えたのは、“立候補しない”という選択だった。

返事をする日まで1人で悩んだ日々を振り返り、その間に考えたことを和平は家族に語る。

誇らしいと思ったこと、自分の未来の選択で悩む日々が新鮮だったこと。幼い兄弟を抱えて両親を亡くした和平にとっては、就職のときさえも長倉家を守ることが最優先だったということ。

和平(中井貴一)にとっての夢は…家族との日々を壊さないこと

市長選立候補の打診を受けてから、和平は市長になった未来を思い描いてみていた。

自分の政治ポスター、市役所の改革、鎌倉市民に喜ばれる政策。いろいろな夢を考えているうちに、今こうして手にしている家族との日々を壊さないことが、自身の夢だと思ったという。

和平の話に聞き入り、その選択と思いに拍手を贈る家族たち。わざわざこの話をした理由を千明に問われた和平が、「ちょっと、自慢したかったから…かな」とはにかむと、一気に場が和む。

知美や千明が選挙カーのウグイス嬢になりきったりして、笑い声のうちに夜は更けていった。

和平の選択を聞いた千明は思う。大人から見ると、子どもには無限の可能性があるように思えるが、子どもにも子どもなりの事情や不自由がある。

でも大人になればなるほど、責任や諦めによって、選択の幅は狭まっていく。どんな選択であれ大事なのは、その選択が“自分の選択”であること。

「どうかこの世界に生きるすべての人が、人生の選択を、自分で行えますように」