一方、女性8人が集まった千明の家でのパーティも、同じ話題で盛り上がっていた。

千明も過去のプロポーズを「絶対に(和平は)覚えてないのよ」と言いながら、「現実にしちゃうと、楽しくなくなっちゃうんじゃないかな」と、今の曖昧な関係性を楽しんでいると語るのだった。

成瀬(三浦友和)は千明(小泉今日子)に“胸の痛み”を明かす

ある爽やかな日。成瀬医院の待合室には、定期検診の予約を入れていた千明がいた。

初対面のときから、彼女を驚きの表情で見ていた受付の看護師は、今日も千明をじっと見つめている。あまりの圧に、千明もつい「そんなに似てますかね、奥様に」と話しかけてしまう。

その看護師・森下は「はい!」と断言し、診察室に聞こえないように、ひそひそ声で千明に話しかける。

どうやら成瀬にとって亡き妻は、初恋の相手だったという。そういうわけで女性に免疫がないので、あまり傷つけないでほしいと千明に頼む森下。

その後の診察室で千明が「絶好調なんです」と話すと、成瀬のほうは最近調子が悪いと言い出す。和平と千明の関係に、胸がチクチクする、と。

「でも、ちょっと楽しいんですよ。いい痛みってのもあるんですよね」

妻のいない残りの人生を静かに送ろうと思っていたが、こうして心が動くと面白いと言って微笑む成瀬に、千明は笑顔を浮かべて「光栄です」と返して微笑み合う。