その頃、お品は猿吉(本多力)に、倫子がどうすれば“添い寝姫”の先に行けるのかなどと話していた。そこに、葉山貞之助(小関裕太)がやってくる。先日、落とした門札を拾ってくれた礼を述べる貞之助。何か礼をしたいと好物を尋ねる貞之助に、お品はキンツバだと答えた。
しばらくすると、倫子とお品の前にキンツバが供せられた。
貞之助の計いと頬を弛ますお品。お品の好物がキンツバと知る倫子は、自分のもののほうが大きいと取り替える。すると、お品が口にしたキンツバに黒い碁石が入っているではないか。倫子は自分を狙った嫌がらせと、キンツバに関わった者、全員を呼ぶよう命じた。
すぐさま、膳を運んだ者たちが集められるが、誰しもが言い訳ばかり。御台所頭はキンツバ作りを進言したとして、貞之助の名を挙げる。倫子たちの前に来た貞之助は、申し開きをすることなく自分を御手打ちにするよう願った。
それならば仕方ないと返す倫子に驚くお品。だが、倫子は今日限り役目を終えたと思って、これからは自分たちに仕えるよう言い渡す。倫子は自分の御前の管理を貞之助とお品に任せたいと続けた。
実は、碁石は松島が御台所頭に命じたものだった。
その夜、倫子が寝ている布団の中に何者かが蛇を入れた。こちらは高岳(田中道子)の仕業。倫子とお品が自分たちの無力さを嘆いていると、騒ぎを聞きつけた家治がやって来る。家治は、「あの部屋なら蛇も出なかろう」と翌晩の御渡りを倫子に告げた。