「のんびりとした空気感を僕が醸し出さなければ」

──撮影現場の雰囲気はいかがですか?

和気あいあいとやっています。先日、僕の誕生日を皆さんがお祝いしてくださって。桐谷くんからはお酒、ねるちゃんからは伊万里焼のステキなお皿をいただきました。

劇中、武良井くんが病院の裏側を暴くような描写がありますが、僕が演じる横堀さんは、小さな女の子がティッシュペーパーを落とし物として届け出てくれて「ありがとうね~」と言っているだけなので(笑)、気張らずに演じられています。

ただ、院内交番に集まって来るお医者さんや看護師さんは、各部署で気を張っていることが多くて、でも院内交番ではのんびりと過ごしているんです。そののんびりとした空気を僕が醸し出さなければいけないなと思い、そこは意識しているところですね。

──スタッフから役作りに関する要望は何かありましたか?

声のトーンは言われました。僕はこれまでいろいろな作品でハードな役柄を演じることが結構多かったので、その空気感を一切消して、「(高めの声で)あぁ、今日もいい天気だな~」「茶柱が立ってる!」みたいな感じで(笑)。

もうあまり仕事にエネルギーを出さなくていい年代というか、あまり頑張って力が入っちゃうと横堀さんじゃなくなっちゃうので、力を抜くようにしています。

でも、ちょっとアクションをするシーンもあるんです。この間、「市村さん、背負い投げできますか?」と聞かれたんだけど、「中学のとき柔道部だった」と言ってパッとやったら、みんなも「おぉ!」と言ってくれて、スッと決まりました。「横堀さん、そんなに動けるの?」という意外性があるシーンになっていると思います。

──“枯れ専”の川本が毎話、横堀さんとの会話で萌えている様子も話題になっています。

横堀さんのことを「かわいい!」と言ってくれるんですよね(笑)。今まで演じてきた役とはずいぶんと違いますから、戸惑いますよ。

でも、その様子から、見る人によっては「黒幕なんじゃないか」と勘繰ってしまっている方もいるとか。そういう役を演じることが多かったからだと思いますけど、今回は最後まで一貫してあのフワッとした感じでいくと思います。

──“枯れ専”から好かれるために大事にしているポイントはありますか?

我が家で子どもに接するように演じています。今、下の子が若干反抗期になってきていますが、反抗させないようにしていて。例えば、朝起こすときも、「(ふんわりとした優しい声色で)7時だよ」「5分過ぎたよ。そろそろ起きようか」と。

それでも起きず、何回も声をかけると「部屋入らないでって言ってるよね」と言われるけど、「(変わらず優しく)そうだね。じゃあ(部屋を)出るよ」って言うんです。横堀さんもそういう気持ちで演じていますね。

やっぱり若いお嬢さんが「ああいう上司がいたらいいな」と思う人って、優しく接してくれる人じゃないですか。川本さんに「こんな組織にいたくないです」と言われないように気をつけています。