──『ホリデイ・イン』には、『White Christmas』などアーヴィング・バーリンさんの名曲が多く使われています。楽曲の印象を聞かせてください。

坂本:知っている楽曲はもちろん、初めて聴く曲すらもワクワクさせてくれる印象です。音楽チームのスタッフとも話しているのですが、音ってドからドしかないのに、よくこんなメロディが作り出せますよね。それくらい素晴らしい楽曲の多いミュージカルです。

ただ、例えば『White Christmas』は世界中の誰もが知っている楽曲なので、プレッシャーを感じています。英語の曲を日本語で歌う難しさもありますし、違和感なく届けられるように、と思っています。

増田:この作品に出演すると決まったときに、ミュージカル好きの人から「名曲がたくさんある作品だよね」と言われて。でも、正直、海外の有名な楽曲の知識がなかったので、「知らないかもな」と思っていたんです。

そんな僕でも、ほとんどの曲を知っていました(笑)。僕のように、「あんまり知らないんだよな…」という方でも、安心して楽しめると思うので、ぜひ観に来てほしいです。

ミュージカル『ホリデイ・イン』は日本初上演!増田貴久「プレッシャーよりワクワク」

──お2人はこれまでにもブロードウェイミュージカルに出演していますが、ブロードウェイミュージカルの魅力はどこにあると思いますか?

坂本:なかなか難しい質問ですね。イギリスの作品と比べると、ブロードウェイ作品は子どもから大人まで、初めて観る方も、最後は笑顔で劇場をあとにできる作品が多い印象があります。

「ミュージカルって、ちょっと苦手」と言う人に、僕はよく「だいたい2時間半の夢の時間だから」と説明していて。例えば、テーマパークに行くと自然と夢の空間にいる気持ちになって、何の違和感もなくキャラクターのカチューシャができるじゃないですか(笑)。ミュージカルもそれと同じ。

その感覚が一番強くて、夢の時間をより楽しませてくれるのが、もしかしたらブロードウェイミュージカルなのかもしれないな、と思います。

増田:長年愛されていて、それ故に同じ作品でもいろんな人が演じているバージョンがあって、そういう作品が日本で初上演するということには魅力を感じます。

舞台作品は特にそうだと思うのですが、日本だとじっと見てしまうシーンでも、ブロードウェイでは大爆笑が起こっているということがあるんですよね。なんで笑うのかを後々よく調べてみると、歴史を踏まえた皮肉だったりして。

自分はそのセリフを真面目に読んでたけど、その背景を知ることで捉え方も変わって…つまり、奥が深いんだなと。そういうところも魅力かもしれません。

──『ホリデイ・イン』は日本初上演です。プレッシャーはありますか?

坂本:(増田さんに)聞いてみたいですね。どうですか?

増田:お話をいただくまでこの作品を知らなかったので、僕をきっかけにこの作品を知る方もいるかもしれないと思うと、プレッシャーというよりワクワクのほうが大きいですね。

もともと海外版が好きな方にも、「このバージョンもいいじゃん」と思ってほしいですし、初めて観る方が観劇後に海外版のサントラを買うようなきかっけになってもうれしいですし。楽しみのほうが大きいです。坂本くんはどうですか?

坂本:作品が有名な分だけ、楽曲も含めて皆さんそれぞれの記憶というか思い出があるんですよね。『フットルース』や『THE BOY FROM OZ』をやらせてもらったときもそうだったのですが、やっぱり有名であればあるほどプレッシャーは感じます。

「(海外版の)あのキャストだったからよかったんだよね」と思われたら負けだと思いますし、そのプレッシャーは自分の力に変えていますけどね。

それに国内で上演するものは日本人の方が見るので、「こっちのほうがいろいろ伝わってくるね」「楽しかった」と思われるように…「やるしかない」という感じです。

増田:先に答えちゃったので、言わなかったんですけど、僕もすごくプレッシャー感じてますよ(笑)。

坂本:ははは(笑)。

増田:なんか坂本くんはプレッシャー感じているって言ってるのに、僕は楽しみって言っちゃってちょっと…(笑)。プレッシャーを感じてる方向に…あ、「(プレッシャーを)感じながらも」にしましょう!

坂本:そこまで全部書いてください(笑)。

──最後に、観劇を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

増田:僕はジュニアの頃からずっと坂本くんの背中を見てきました。ステージ上で一緒に踊ったり歌ったりするのは初めての経験ですが、1人の役者として「こんな後輩が育ちました」というところを見せられるように、しっかり頑張りたいと思います。

あとは、『ハウ・トゥー・サクシード』というコメディ作品をコロナ禍に上演したとき、坂本くんが観に来てくださって、「みんな落ち込んでいる時期に、こういう作品があるといいよね」と言ってくださったことをすごく覚えていて。

その言葉を受けてから、舞台をやるときには、上演中の数時間が、「今年一番楽しかった」と思ってもらえるようなものを作りたいと思っています。今回もその思いでつくっていますので、楽しみにしていてください。

坂本:古き良きアメリカのミュージカル作品を令和に初演できるということに、とてもワクワクしています。何よりも、『ホリデイ・イン』の音楽を皆さんに届けられることがうれしいですし、観に来てくださる皆さんには素敵な音楽を受け取っていただいて、笑顔になって、幸せになっていただけたらと思います。

撮影:河井彩美

【坂本昌行】
ヘアメイク:染谷誠(Lit)
スタイリスト:柳田明子

【増田貴久】
ヘアメイク:坂部めぐみ
スタイリスト:内田あゆみ(creative GUILD)