ドラマオリジナル部分の発想はどこから?
――清水先生、ドラマを見た感想は?
清水:もう感無量ですね。生きている鈴木を、自分でもあまり描いたことがないので、第1話でがっつり生きている鈴木を見ることができて「あー、鈴木をもうちょっと描けばよかったな」と思っちゃいました。なので、それを読み切り作品として描きました。鈴木をちょっと回想するお話です。
――それが『メロディ』4月号に掲載される特別編ですね。鈴木が第1話から出てきたことについて、どう思いましたか?
清水:すごくサディスティックですよね(笑)。漫画では、最初から死んだものとして描いていますけど、ドラマでは、あんなにやさしくて頼っていた鈴木がいなくなっちゃうんですから。
――鈴木を第1話から登場させるというのは、どういう意図だったのですか?
佐藤:映像作品だと、フラッシュで出てくる過去回想はどうしても弱いんです。「これ、なんなの?」って思っているうちに終わっちゃって、感情移入ができない。
やっぱり視聴者の方には、薪と同時に貝沼に会ってほしいし、鈴木に会ってほしいし。で、鈴木に死んでほしいし、貝沼に死んでほしい。
その薪の気持ちを、きちんと視聴者が追体験してから青木に会ってほしかったんです。そうじゃないと、薪がなぜあんなに悩んでいるのか、なぜすぐに気絶しちゃうか、一緒に体験しないとわからないと思うんですよね。
――原作からの変更は、話し合いのもと進めていったのですか?
佐藤:もともと、最初に作った構成を清水さんに「いかがですか」って感じで見せていたんです。
清水:なので、貝沼の設定が違うということは、当初から知っていました。
佐藤:その後も、違うかなと感じる部分はお互いに話をしてきました。清水さんから「いや、ちょっとこれは」って言われたら直して、こちらから「ここはこうしたい」ってご相談したり。
清水:うんうん。
――薪役・板垣李光人さんの印象を教えてください。
清水:回を重ねるごとに、どんどん本当に薪みたいになってきて。寝ているだけでも薪みたい(笑)。
『silent』(フジテレビ)も見ていましたし、板垣くんを知ってはいたんですけど、もう『silent』の顔と違うんですよ。顔そのものは変わってないのに、こんなに変わっちゃうんだって感じですね。驚きました。


――鈴木克洋・青木一行の一人二役の中島裕翔さんの印象を教えてください。
清水:素晴らしいです。中島くんファンになりそう(笑)。演じ分けも見事ですね。止まった映像でも、青木と鈴木だと顔つきが違うかなと。声の出し方も違う。相当、気持ちから持っていって変えているんだろうなと思います。
――視聴者からの質問にもありましたが、なぜ「一人二役」に?
佐藤:それしかないというか、別人だと視聴者の方が見ても「あ、同じ」って思わないじゃないですか。同じ人が、髪型や雰囲気を全部変えてやるからこそ「似ている」となるのであって、絶対同じ人がやるべきって、もう最初から私は思っていました。
清水:そうなんです。でも期せずして、“中島くんの一人二役演じ分け”っていうところも見どころになった感じですね。


――貝沼の人物像が原作からガラッと変わりました。佐藤さんは、どのようにこの設定を思いついたのですか?
佐藤:いやもう、薪をもっと苦しめようと(笑)。
清水:あはははは。だから薪は、信頼している人に裏切られ続けちゃう(笑)。
佐藤:あと、貝沼には鈴木とも関係していてほしかったんです。原作は薪と貝沼の関係だけなんですが、鈴木もそれを知っていてほしいし、その関係に加わっていてほしかったんです。
それと、MRIがすごく複雑で説明が大変なので、誰かそのエキスパートが説明してくれたほうが楽だな、というところから貝沼が教授になりました。
清水:そう、描いているときも思ったんですよ、ホームレスのような貝沼がどうやって少年院のセラピーに行ったのか。そこは確かに、脳科学の教授だったらできますよね。
佐藤:催眠も脳科学の教授なら、かけやすいだろうと。
清水:しかも、貝沼が鈴木をターゲットに決めた理由が「薪が鈴木に視線を送っていたから」。それでロックオンって。恐ろしいですよね。鈴木くんに見せて、狂わせてやろうって感じがもう。最初から催眠術のために、お香焚いていたもんね。
佐藤:そうそう、そうなの。
清水:それもサディスティック(笑)。
佐藤:余計に薪が苦しむ(笑)。当たり前だけど、ドラマだと漫画より表現がマイルドになっているでしょ。だから、そこは心理戦で攻めていかないとな、と。

――國村隼さん演じる貝沼清孝の印象は?
清水:怖いですねえ。それこそアンソニー・ホプキンスみたいな怖さが。立っているだけで怖いっていうのは、なかなか出せないですよね。実は、國村さんがキャスティングの第一希望だったので、うれしいです。
國村さんは本当に声がよくて、鏡を見てしゃべっているだけなのに、どうしてこんなに怖いんだろうって。だから、貝沼の映像を見た薪がフッて倒れるのも、確かにそうなるよなって思います。本当に怖い。

――原作ファンの方や周囲の反応について、どう感じていますか?
清水:いろいろな感想を拝見しましたが、「とにかく第3話まで見てくれ」と思っていました。でも、「よくぞこのキャスティングにしてくれた」って方が多いですよね。
佐藤:そうですね。原作もののドラマをやると、必ずこっち側からあっち側までいろいろな意見をいただきますが、今回キャスティングにしてもストーリーにしても肯定的に受け止めてもらっているなと感じています。
私は清水さんの大ファンですし、『秘密』も大好きだから、ファンが怒っちゃうとほんとに悲しいので、そうならなくてよかったなと思っています。
――最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
佐藤:テーマとしては「罪と赦(ゆる)し」、そして「死と再生」の話になっています。そこに向かっていくので、つらいお話は続きますが、最後は救われると思いますから、ぜひ最後まで見てください。
清水:鈴木の面影を見て、薪がだんだん青木とのバディ感を強めていくという関係も、ぜひ見てほしいですね。この先、青木が大変な目に遭っちゃうので、中島くん頑張って(笑)。

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