<コラム>『最高のオバハン中島ハルコ~マダム・イン・ちょこっとだけバンコク~』第6話

いまさらだけど、いづみ(松本まりか)ってさ、とっても、変だよね?(急に失礼)

だって、あんなに毎回毎回ハルコ(大地真央)からこき使われてんのに、イヤな顔まったくしてなくて、しかも、その“こき”ってのも、初期こそいづみの本職である雑誌編集関連だったはずだし、それでなくてもいづみへの恋愛アドバイス的な要素くらいは含まれてたはずなのに、シーズン3の第5話まで来ちゃった前回なんて、いづみがラン(GEE SUTTHIRAK)からのお誘いにテンションMAX!!になってる最中の、今それどころじゃない!!…っていうか普通に業務時間内です!!なのに、急にハルコから電話かかってきて、呼び出され(要件は言わない)、何かと思えばゴルフの練習につき合わせるだけ…。

しかも役割は、ハルコのスイングチェック(つまりカメラ担当)という“こき”にもほどがある、こきの使いよう(?)だったっていうのに、いづみってば、ちっともイヤがるそぶりがない…じゃないですか?

いやだけど、たぶんファーストシーズンのあたまくらいまでは、そんな“こき”でも、少しくらいはイヤな顔してた気もするっちゃするけど、もう今となっては、微塵もイヤがるそぶりがない…。

いや、イヤがってる風情は出してはいるけども、本気でイヤがってはないし、視聴者も視聴者で、そんな理不尽にこき使われまくりのいづみに対して、何にも、かわいそうとも、まったくもって思っていない。それこそがいづみだよね!!と納得させちゃう、そんないづみのキャラクターって、やっぱ変ですよね?

うん、で、そんないづみの扱われ方に対する、受け手側の反応の“変”はもちろんのこと…なんだけど、なかでも何が一番変かって、いづみの、あのテンションですよね!?(またしても失礼)

だって、ハルコの異次元テンションと、ストーリーテリングのテンションのおかしさについてはこれまで散々触れてきたし、それぞれが毎回もれなくとてつもないテンションだったもんで、それでもって隠れ蓑(みの)になってた感あるけど、よくよく振り返って、まじまじと見てみると、いづみのテンションも、大概、相当に、変、ですよね?(ホントに失礼)

うん、だってまずもって僕的に見逃せなかったのは、今シーズン第1話の、あのシーンですよね?!

いづみがランに出会った瞬間、一目散に惚れてしまっちゃうあのテンション…までは物語上、そういうもん、いづみってそういう子だって割りきるとしても、あの茶番が甚(はなは)だしかった、あのプール事件ですよ(茶番ではないし、事件でもない)!!!

脈略がどうだったかは詳しくは忘れたけど(おい!)、バンコクのナイトプールで、やんややんやの末、ランといづみ、ほか数名ともどもが、プールに全員どんがらがっしゃん!だった、あの茶番ですよ(茶番言うな)。あのプール事件ですよ(だから事件ではない)。

あれ、どうしたって脈略ゼロの(言い過ぎ)茶番だったし(しつこい!)、案の定、ナイトプールへ着水後、男女のいい雰囲気♡になっちゃって、なんなんだよこのシーン!!ではあったし、そのあとの、いづみの「大・丈・夫♡(タイ語)」のいい方まで含めて、いろいろもろもろ相当に変…。

その状況で、急にそんなテンションになって「大・丈・夫♡(タイ語)」とか急に言えちゃう、そんないづみのテンションが、相当に変…。

左から)菊池いづみ(松本まりか)、ラン・ターラー(GEE SUTTHIRAK)

ではあったんだけど、その直後、そのほんの数コマ後、いづみとランinナイトプール…からの夜景♡という引きの画で…ランの胸に寄り添ういづみ…ってのでもって、さっきまで茶番だった、数コマ戻れば茶番プール事件だったはずの光景が一気に本気モード!に突入しちゃう、いづみ、本気で、ランのこと、好き…になっちゃってる…っていう、あの雰囲気が急激に劇的に出せちゃう、出すことに成功しちゃう、いづみの、いづみによる、いづみにしか出せない、あの、テンションの乱高下!!!(下なのか?)まさしく、変!!!変過ぎますよ!!!

うん、で、視聴者のこっちもこっちで、いづみがあんなにすぐさまイチコロになっちゃうわ、茶番プール事件の茶番過ぎる茶番劇に簡単に乗っかっちゃうわで(もう茶番言いたいだけ)、いづみっていうあのキャラクターは、どうしたって、恋愛脳にもほどがある…齢(よわい)40だっていうのに、あまりにも簡単過ぎる…大丈夫!?っていう、どうしても彼女の印象として“気の毒”が勝っちゃいそうになるんだけど、あのいづみときたら、コメディドラマとしての体裁を保てる程度のギリギリの生々しさはちゃんと残しつつも(←ここ大事)、それよりなにより、いづみとはそういう人って納得させてしまう、あんなにテンションが変だったのに、そのテンションについて、こっちにはまったく追及させてくれないほど揺るぎない、いづみというキャラクターがそこにある!!っていう、変…。