新宿・歌舞伎町の中心部から約500m。24時間救急対応を行っている「春山記念病院」。
現在フジテレビで放送中の、ドラマ「新宿野戦病院」で脚本を手がける、宮藤官九郎さんが参考にした病院です。
ドラマでは、一般の病院とは少し違った“ワケあり”な患者さんも数多く登場しますが、眠らない街と向き合う「リアル新宿野戦病院」ともいえる、緊迫の救急救命の現場に「めざまし8」のカメラが密着しました。
リアル「新宿野戦病院」にカメラが密着
――実際どんな方が搬送されてくるんですか?
春山記念病院副院長 藤川翼医師:
外国人の方も多いですし、水商売やってる人たちも来るし、トー横の若いキッズの子たちも来てましたね。
▼「ガールズバーで働く女性が飲酒で…」
土曜日の午前9時半、1本のコールが鳴りました。
看護師「じゃあ、お酒は焼酎10杯どころじゃないってことですね…仕事でも飲んでいるんですもんね」
看護師「ガールズバーの店員さん、仕事帰りに飲んで信号待ちで倒れて、本人はガールズバーで働いていることは親に内緒だから言わないで」
医師「うん。言わない」
運ばれてきたのは、ガールズバーで働く女性。
勤務中だけでなく、お店が終わった後も飲食店で夜通し酒を飲み、朝、帰宅途中に倒れてしまったといいます。
医師「眠い?」
患者の女性「眠くはない」
医師「特に転んでとこもうってない?交差点で倒れちゃったんだって。覚えてる?」
患者の女性「多少は…」
医師「点滴しましょうか」
医師は女性の意識が十分あることを確認。脱水症状の可能性があったため、点滴を打つことにしました。
女性のように酩酊した患者は、一日中運ばれてくるといいます。
藤川翼医師:
結構特殊かもしれませんが、日中も来るんですね。(救急車が)20~25台来るとしたら、(飲酒関連が)1割とか2割程度とかなんですかね。
女性に点滴を始めてから30分後…。医師が「大丈夫そう?点滴が終わったら抜いて帰りましょう」と声をかけます。
ーー結構、飲まれてたんですか?
酩酊して搬送・ガールズバーの店員:
そうですね、駅向かおうとして歩いてたら、気を失っちゃって倒れちゃった感じ。
ーー気をつけなきゃと思うことありますか?
酩酊して搬送・ガールズバーの店員:
あまり、普段水分を取らないので、なるべく(お酒は)取らないようにしなきゃ…。
搬送から約2時間後、女性は無事帰路につきました。
藤川翼医師:
この後もかなり来ますね。土曜日は午後(他の病院が)閉まっているところが多いので、そうすると結構(患者が)来ちゃうんです。
その言葉通り続々と患者が運ばれ始め、救急担当以外の医師にサポートを依頼します。
医師「先生、すみません、ちょっと一緒に診てもらってもいいですか?挫創(開いた傷)を縫ってもらってもいい?」
――(救急だけで)回らなくなることも時々あるんですか?
藤川翼医師:
これだけ来ているとね…今、(救急車)5、6台来ているからね、一気に。
救急外来はわずか2つのベッドで運用。運ばれてくる患者が多いため、廊下で処置を行わなければならないほどに。
▼「酔っ払ってフライパンを投げられ…」
そんな中、また新たな救急患者が到着しました。
医師「酔っぱらってけんかして、フライパン投げられて、前額部にV字の挫創」
40代の男性が、酒を飲んでいた相手と口論になり、フライパンを投げつけられたといいます。額にフライパンが当たり、大きく傷が開いていました。
患者(40代男性)「ちょっと鏡見して!(傷口が)逆Vやんけ」
医師が傷口を縫おうとすると…、
患者(40代男性)「いや、縫うのいややねん…昔から…ちょっと縫わないでよ。ばんそうこう」
医師「それじゃ治んない。パックリ開いているから治らないそれ」
医師が懸命に説得するも本人は同意せず、縫わずに病院を後にしました。
医師「頭をぶつけた後の注意書きっていうのがありますから、これをお渡ししますね。症状がおきちゃったら、検査した方がいいからまた病院きてくださいね」
▼「香港からの旅行客に医療コンシェルジュが対応」
続いてやって来たのは香港から旅行中だという30代の女性。
体調が悪くホテルに相談したところ、この病院を勧められたといいます。
香港からの旅行者「ヘッドエイク…」
女性は日本語を話せない様子…すると
医師「熱は?」
医療コンシェルジュ(英語)「熱っぽさは感じませんか?」
香港からの旅行者(英語)「今はありません、熱は少し下がってきて良くなった感じがします。きのうは多分ちょっとありました」
実はこの病院では、増え続ける外国人患者に向け「医療コンシェルジュ」を設置。英語と中国語に対応しているんです。
藤川翼医師:
でも夜はさすがにコンシェルジュの人いないんで、英語とか中国語じゃなくて何語かわからない人も結構来るので。
医療コンシェルジュが退勤した午前0時ごろ。外国人を乗せたという救急車から要請が。
▼午前0時頃「頭部外傷ベトナム国籍の男性」
看護師「縦に5センチ、幅が3センチ、深さが2~3センチ、骨が見えている…」
誰も患者の話す言葉がわからないといいます。搬送されてきたのはベトナム国籍の20代男性。
救急隊員「ほとんど日本語がしゃべれない方で、画像見せてこれにぶつけた?って聞いて、これって言ったのがガードレール」
ランニング中、“ゲリラ豪雨”に見舞われ、足を滑らせガードレールに頭を強打。額に、骨が見えるほどの傷ができていました。
医師「頭とこことね…画像を撮るね…OK?」
深夜の時間帯は「医療コンシェルジュ」不在のため医師はスマホの翻訳機能を使ってCTを撮ることを伝えます。頭部への大きな負傷のため緊急の処置が求められていました。
医師「ここ、頭蓋骨骨折がある」
CT検査の結果、頭蓋骨の骨折が判明。
さらに、鎖骨も折れていることがわかりました。
傷口を縫い合わせる緊急の処置を開始。
傷を縫い合わせること5分。14針を縫い男性は入院しました。
過酷な労働環境のなか、働き続ける理由は?
午前5時前。明け方になっても、鳴り止まない救急要請。
医師にとっては過酷にも見えるこの環境で、なぜ救急の医師として働き続けるのでしょうか?
藤川翼医師:
新宿の土地柄、様々な人が運ばれてくるんですけど、どんな患者さんでも対応しないといけない救命医にとって、実力を発揮できる場所なんじゃないかと。この場所でひとりでも多くの命を救いたいなって思っています。
(『めざまし8』 2024年9月11日放送より)
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