アスベスト(石綿)が原因とされる希少がん「中皮腫」の患者で、同じ病気で苦しむ人々を励ますため全国を回った右田孝雄(みぎた・たかお)さんの生涯を追う『ザ・ドキュメント 僕より先に死なないで~アスベスト・中皮腫患者の7年~』が放送されます。
この番組は、『見知らぬ棘~アスベスト・中皮腫患者の闘い~』(2019年/カンテレ/https://youtu.be/xz2LUT8CPpY?feature=shared)の続編となるドキュメンタリー。
2016年に、中皮腫で余命2年と宣告された右田さんが、中皮腫患者が支え合えるコミュニティづくりに注力し、今年3月に59歳で亡くなるまでの約7年間を密着取材しました。
かつて“奇跡の鉱物”と呼ばれたアスベスト(石綿)は、海外で発がん性などの危険性が指摘されていたにも関わらず、日本では長い間、国が使用を禁止せず、生活の至るところに使われました。
その結果、知らず知らずのうちに吸ってしまったアスベストが原因とされる希少がんの中皮腫を発症し、苦しむ患者が全国各地にいます。
アスベストを扱う仕事をしていなくても発症する中皮腫は、誰しもが罹患(りかん)する可能性がある病気ですが、希少がんゆえに治療法も少ないままです。
右田さんは、自身も中皮腫で余命宣告を受け悩み苦しみながらも、中皮腫患者同士で励まし合う手助けをしたいと、同じ中皮腫患者の栗田英司さんと「中皮腫サポートキャラバン隊」を結成。
中皮腫は希少がんゆえ情報が乏しかったのですが、右田さんは「不安を分かち合いたい」と自身のブログで呼びかけ、全国を回り、患者同士の交流を重ねました。
また、国などに新たな治療薬の早期承認を働きかけるなど、常に“患者の未来”のために動き続けました。
しかし、無情にも次々とやってくる仲間の死。そのたびに、右田さんはもうこんな思いはしたくないと悔しがり、悲しみました。
「僕より先に死なないで、僕は死ぬまで元気だから」が口グセだった右田さん。明るく笑って過ごす姿は、患者たちの希望でした。
同じ病に苦しむ仲間たちのため、残された命を捧げた右田さんが、人生の最期に願うこととは…。
一般的に吸い込んでから20年~50年ほどたって発症する中皮腫の発症のピークは、2030年前後といわれています。
決して他人事ではない、中皮腫患者らの生き様を通してアスベスト被害の実態に迫ります。
ナレーションは、常盤貴子さんが務めます。
『ザ・ドキュメント 僕より先に死なないで~アスベスト・中皮腫患者の7年~』(関西ローカル)は、6月28日(金)25時25分より、カンテレで放送されます。