取材で再会した同級生からの、「胸に刺さった」言葉
――撮影期間中は、杏とどのように向き合っていたのでしょう。
毎朝、心の中でハナさんと杏にあいさつをしていました。「今日も行ってきます。よろしくお願いします」と。
この作品で扱っているのはつい数年前の出来事で、まだ全然時間が経っていないような感覚なので、「本当に映画にして、杏として演じていいんだろうか」という迷い、怖さがずっとありました。
でも、考えても考えても正解は分からないですし、ハナさんに答えを聞くこともできないですし。
だったら、一方的かもしれませんが、私には祈ることしかできないと思い、そんな気持ちで毎日あいさつをしていました。
撮影が終わってからは、ハナさんも杏も、会ったことはないけれど“友だち”のような感覚があります。何か壁に立ち向かわなければいけないときに、自分のなかでちょっと存在を感じるというか。
そして今、映画の公開が近づき、こうして取材を受ける日の朝も「ちゃんと話してきます」と、あいさつをしています。
――新聞記事として既に報じられた出来事を、映画として届けることの意味は、何だと思いますか?
日々のニュースとして触れるだけだと、その時は印象に残っても、忘れてしまう方も多いかもしれません。
でも、映画として観ることで、この出来事が皆さんの記憶に残るのであれば、それこそが『あんのこと』を作った意味だと思います。
私の高校の同級生で、出版社で働いている子がいるのですが、今回『あんのこと』の取材で会うことができて。
その子が試写のあと、「これは絶対に届けなきゃいけない作品だと思う」と言ってくれたんです。シンプルな言葉でしたが、胸にとても刺さりました。
『あんのこと』を多くの方に届けて、2024年の今を生きている皆さんがどう思われるか。それを、しっかり受け取りたいと思います。
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