今作で長年の謎が解けて、切ない気持ちに…
――2012年に始まった「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズ、2017年の「宇宙戦艦ヤマト2202」シリーズ(以下、「2202」)を経て、「2205後章」まで終えた今の気持ちを聞かせてください。
ヤマトのように、ずっと旅をしているような感覚でした。でも決して1人ではなく、仲間と一緒に悲しいことも、つらいことも乗り越えてきた旅です。当初は、こんなに長い旅になるのはもちろん、ヤマトが自分の生き様と重なるような作品になるとは想像もしていませんでした。
――約10年間、古代進を演じてきて、小野さん自身にどんな変化がありましたか?
古代はいつも悩んで葛藤して、その都度困難を乗り越えてきたので、自分もその度に一つ成長できた感覚があります。10年間演じてきた今は、彼の心が全部わかってしまうというか、もはや「古代進=小野大輔」になったのかな、とさえ感じています。
古代は旅の中で、生きる上で一番大事なことは「人と手を取り合うことだ」と気づいていきます。ヤマトのクルーはもちろん、異星人ともです。古代の生き方の根底には、「異星人とだって分かり合えるはずだ」という思いがあるんですよね。僕自身も、やっぱり人は人とつながっているからこそ生きていけるのではないかと思います。
――「2205 後章」の見どころを教えてください。
ヤマトがずっと描き続けているのは、どの時代にもある「普遍の愛」ですが、今作は、これまでに比べて一番普遍的な愛が描かれていると感じました。最終的にはアベルト・デスラーとスターシャ・イスカンダルの話になるのですが、僕がずっと抱いていた謎が解けたんです。
――謎というのは?
僕、ずっとデスラー(※)のことが知りたかったんです。デスラーって言葉少なで冷笑的だし、いったい何を背負って、どんな過去があって、なぜそんなに思い詰めているのか…「デスラーはっきり言ってくれよ!」と、ずっと思っていたんです。今作ではその謎がすべて明かされ、最後は切ない気持ちになりました。
(※)アベルト・デスラー:もと大ガミラス帝星永世総統で、古代の好敵。今作では古代率いるヤマトと共闘する(今作での声・山寺宏一)
――物語終盤、古代の「たとえ一瞬でも、最後に愛する人に会えるだけで人は救われる」という言葉があります。どんな思いで、このセリフを発しましたか?
ヤマトに約10年関わってきた中で、残念なことにお別れをしなければならなかったクルーもいました。土方竜役の故・石塚運昇さん、榎本勇役の故・藤原啓治さん…。今作を最後まで演じきったときに、お2人の顔が浮かびました。寂しくて悲しいお別れでしたが、一緒にヤマトに乗ることができて、本当によかったなと思いました。
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