市川染五郎 年下の俳優との共演は「新鮮な感覚だった」

――菊池さんと中島さんからも撮影の思い出を聞かせてください。

菊池:嫁いだ後のおふさが心に傷を負い、川に入っていくシーンが私は印象に残っています。物語において肝になるようなシーンだったので、撮影の何日も前からおふさの気持ちを自分の中に叩き込んで挑みました。

とても演じることが難しいシーンでしたが、監督が時間をかけておふさの心情を説明してくださったので、おふさと同化することができたといいますか、無我夢中で演じることができました。

 

『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』より 成長したおふさを原沙知絵(左)が演じている ©日本映画放送

――中島さんは、盗人酒屋で銕三郎を介抱するシーンがほとんどでしたね。

中島:酔った人を介抱した経験がまだないので、人を抱き起すって難しいんだなと感じました(笑)。撮影自体は短期間でしたが、その中に濃いものがギュッと詰まっていて、勉強になることばかりでした。

『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』より 銕三郎役の市川染五郎 ©日本映画放送

――普段、年上の俳優さんに囲まれている染五郎さんにとって、年下の方との共演は珍しいのでは?

染五郎:歌舞伎界では同世代の俳優が少なく、僕より年下ですと、小学生などの子役になってしまうので、とても新鮮な感覚でした。