阿佐辰美 距離をつめるため市川染五郎に猛アプローチ
――現在、劇場版『鬼平犯科帳 血闘』が公開中、テレビスペシャル『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』は配信中ですが、阿佐さんと菊池さんは「血闘」を、中島さんは「本所・桜屋敷」を観た感想を聞かせてください。
阿佐:まずは冒頭の銕三郎が敵陣に向かうシーンで、左馬之助として隣に立ちたかったなと感じましたね。そして、“鬼平犯科帳”というのは愛の物語なのだということを再認識しました。
菊池:大人になったおまさ(中村ゆり)さんを観て感じた魅力に、中島さんが演じた少女時代のおまさから通じるものがあったので、それ以来、中島さんにお会いできることをずっと楽しみにしていたんです。
そして、男性陣の迫力ある殺陣や、女性の妖艶さも際立っている作品だと感じました。現代劇では絶対に観ることができないものだからこそ、私たちのような若い世代にも広く知ってほしいと思いました。
中島:「本所・桜屋敷」は完成披露試写会で観させていただきました。時代劇を劇場で観るのはほぼ初めてでしたが、瞬(まばた)きを忘れて目が乾燥してしまうぐらい、のめり込んでしまいました。甘酸っぱい恋のお話も盛り込まれていて、とても素敵でした。
――染五郎さんからは「本所・桜屋敷」で共演し交流を深めたという阿佐さんとの撮影の思い出を聞かせてください。
染五郎:左馬之助と銕三郎は剣の修行をともに重ねてきた親友という設定だったのですが、カメラがまわっていないときも阿佐さんのほうからたくさん話しかけてくださり、距離感を作ってくださいました。
歌舞伎以外の作品で同世代の方とバディを演じる機会はこれまでなかったので、とにかくうれしかったですし、たくさんの刺激をいただけた時間でした。
――合間はどんな会話をしていたんですか?
阿佐:僕のほうから質問攻めに(笑)。染五郎さんには以前からクールなイメージを抱いていて、そのイメージが崩れることはありませんでしたが、意外な部分を知ったことで、僕たちの距離も縮まったのかなと思います。
――意外な部分というのは?
阿佐:「京都に滞在している間は何をしましたか?」とお聞きしたら、「映画を観に行ってきました」と返ってきて、さらに、その作品が『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だったので、「染五郎さんもマリオを観るんだ」と驚きました。
あとは、学生時代にまわりから何と呼ばれていたのかなど、プライベートに踏み込んだことまでお聞きして、勇気を出した甲斐があったなと思っています。
染五郎:(笑)。阿佐さんのほうから歩み寄ってくださったので、本番中に特別なスイッチを入れなくてもいいといいますか、自然に役に入ることができました。
――菊池さんはそんなお二人を現場で見ていたんですよね。
菊池:私が撮影に参加したとき、お二人は自然に会話をしていらっしゃったので、「(関係性が)すでに出来上がっているんだな」というのが第一印象でした。