──撮影中の印象的なエピソードを聞かせてください。

上野:今回も東北ロケにも行ってきました。雨予報だったのですが、バーンッと晴れてくれて。1日しか撮影のスケジュールをとっていなかったのですが、最後まで雨は降らずにもってくれたのが印象的でした。

現場では「私が晴れ女だから」と言っていましたが、実際はそうではなくて。きっと、あの土地のエネルギーがそうさせたというか。すごく不思議なパワーを感じる撮影でした。

風間:僕は東北ロケには行っていないのですが、今の話を聞いていて、『監察医 朝顔』という作品は日常の些細な幸せや変化を大切に制作されているから、そういう導かれ方をするんだろうなと、改めて思いましたね。

僕自身が参加した撮影で印象的だったのは…。

上野:戸次(重幸)さん、面白かったですよね(笑)。

風間:戸次さんは、野毛山署の刑事・山倉伸彦を演じていますが、あんなにカッコいい方なのに、『監察医 朝顔』のなかでは相変わらずコメディリリーフとして存在してくださっていて。

当初は、そんなはずじゃなかったと思うんです。スリーピースのスーツをビシッと着こなしていらっしゃるし。でも、平野(眞)監督が戸次さんのことが大好きなあまり、ああいうキャラクターになってしまったという(笑)。今回も面白いです。

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──久しぶりに撮影で訪れた東北の地に、何か変化はありましたか?

上野:劇中でもある植物が事件のキーになっているのですが、自然の力は大きいといいますか。以前訪れた時よりも木々が成長しているのが印象的でした。

人も増えていますし、そういった変化を『監察医 朝顔』を通してお伝えできること、自分自身が感じられることがうれしかったですね。

──第1シリーズ放送から5年が経っていますが、お互いの印象に変化はありますか?

風間:樹里ちゃん自身の変化ではないのですが、個人的には朝顔がチョイスするヘアスタイルを毎回楽しみにしていて。ニュアンスは一貫しているのですが、月日が経っているのでちょっと変わってるんですよね。

上野:今回は朝顔も桑原くんの職場に行くシーンがありますが、朝顔は普段、ちょっとゆるい法医学教室のみんなに囲まれているから、黒いスーツの人たちに囲まれている桑原くんの職場に入って圧倒されちゃって。

そこには、いつも家で一緒にいる人が、こんなにすごいところで働いているんだとあわあわする感覚もありましたね。

風間:刑事たちに委縮していたのもあるけど、いつもと違う桑原に「あ、桑原くん…」っていう戸惑いみたいなものも感じていたんだ?

上野:そうですね。周りは2人が夫婦だってわかってるけど、その場ではつい敬語になるくらい、緊張感がありましたね。