ずっとそばにいたから言えない本音 簡単には手に入らない絆の現在は

その後、青島の命の危機を感じたり、すみれが警察を辞めようとしたりと、これまでと同じ場面に遭遇するも、その対応が形を変えていきます。

(C)2010フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010年)では、新湾岸署への引っ越し作業に追われるさなか、青島は「胸のあたりに15ミリほどの影がある」という健康診断の結果(※のちに誤診と判明)を聞いて意気消沈。話に尾ひれがつきまくった結果「青島はあとわずかの命らしい」といううわさが署内で広まり、もちろんすみれの耳にも入ります。

いつも通りカップラーメンを一緒に食べながら「すみれさんに伝えてなかったことあったかな?」「私も青島くんに言えなかったこと…」と、青島の“余命わずか”という状況を前に、いつものやりとりはどこへやら、“伝えたい思い”は口から出ず、沈黙がおとずれます。

(C)2010フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

その“伝えたい思い”があふれ出すのは、すみれをはじめとする署員が毒ガスが仕掛けられている新湾岸署にとじこめられた時。救い出そうと奮闘する青島に、すみれはスピーカーを使って捜査をするよう発破をかけます。そして、スピーカーを切ったあと、誰にも聞こえないように「死んじゃいや」と静かに涙をこぼしました。

(C)2012フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

その2年後、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012年)では、すみれは肩を撃たれた後遺症が悪化して体の限界を感じ、周囲に黙って警察を辞めることを決意。青島はいつもとどこか違うすみれの様子に気づき、後輩刑事・和久伸次郎(伊藤淳史)から後遺症について聞き出すと、すぐさますみれを休憩に誘い出しました。

屋上にやって来た2人は、直近の張り込み捜査でやっていた、“からあげ店を営む夫婦”という設定で会話を楽しみます。腰が痛いという青島の弱音をとがめるすみれ。青島に「おめえだってよ、ホントはよ?」と促されたすみれは、「痛いよ!」と肩が痛むことを吐き出します。青島はいつものようなテンポの良い会話ですみれの本音を引き出しながらも「辞めないよね?」とだけ言って、その場を立ち去ってしまいました。

強く引き留めないのは、青島自身も刺された腰の傷が痛むことがあり、すみれのつらさを理解できるからでしょうか。これまで、警察を辞めようとするすみれの弱音を引き出し、お節介なほどに手を尽くしてきた青島が、「辞めてほしくない」という寂しさを抱えながらも、踏み込まないこのシーンは、切なさに満ちていました。

(C)2012フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

すみれは、青島に黙って、両親の住む大分へと帰るため、高速バスに乗り込みます。その道中、青島が辞職に追い込まれたというニュースを目にし、さらに和久から「真下の息子が誘拐された」という連絡を受けます

一方、被疑者追跡に奔走する青島は潜伏先の倉庫を突き止め、和久とともに突入。丸腰の青島たちに対し、相手は拳銃を所持。じりじりと距離を詰められる緊迫した状況の中、突然大型バスが倉庫に突っ込んできました。混乱のさなか被疑者を確保し、バスに駆け寄ると、そこにはすみれの姿が。和久から潜伏先の情報を仕入れたすみれがいても立ってもいられなくなり、乗っていたバスを運転して青島を助けに現れたのです。

全力疾走を続けた青島と、後遺症を抱え無茶な運転をしたすみれは互いにボロボロ。なんとか駆け寄りすみれを強く抱き寄せた青島は「辞めないでくれ」と強い口調で伝えました。この言葉には、「そばにいることをやめないでほしい」という青島の気持ちが込められているようにも感じられます。

お互いが唯一無二の存在だと自覚しているからこそ、ずっと“同僚”として一緒にいた2人。簡単には手に入れられない関係の尊さが、多くの人の心をつかんでいるのかもしれません。

そして、それから12年後。

2024年に公開された『室井慎次 生き続ける者』で、すみれは警察を辞め、現在も後遺症を抱えながら過ごしているという近況が語られています。

果たして、同僚ではなくなった青島とすみれの関係はどうなっているのか、今もなお”踊る”ファンの注目を集めています。

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