<内田理央×松井玲奈×中山七里 コメント>

左から)内田理央、中山七里、松井玲奈

内田:実際、ドラマ化のオファーがあったときは、どういうお気持ちだったんですか?

中山:小説を書き終えたのが、かなり前だったので、ちょっと意外な気がしました。今、オファーが来たのかと。

内田:なるほど。

中山:以前にも『嗤う淑女』の映像化の話がありましたが、ある事情で流れてしまったんです。でも、1回オファーが来たものは、必ず2回目も来るんですよ。それが、フジテレビさんということで、ドラマのフジテレビと異名もありましたので、楽しみにしていました。

内田:先日、撮影現場も見ていただきましたが、先生の感想をうかがいたいです。

松井:私たちの役の感想をね。

中山:原作で蒲生美智留は宗教団体の教祖、恭子はその信者というイメージでした。収録のときにも感じましたが、お二人ともちゃんと原作のモチーフなど細かいところまで汲(く)んでいただいているなと。それでもう安心しました。

内田:うれしいお言葉ですね。

松井:うれしいね。今、先生がおっしゃったように、誰かが何かを宗教的に信じる感覚にすごく近いんだろうなというのを無意識的に感じて恭子を演じていました。脚本がそういう流れになっているというのもありますが、原作にしっかりと色があるからこそ、脚本にもしっかり反映されているんだなと。今、先生のお話を聞いて納得しました。

松井:小説『嗤う淑女』が誕生したきっかけというのは?

中山:これは、出版社からの“悪女モノ”を書いてくれという一言ですね。“悪女モノ”と言われたときに、今までいろいろな“悪女モノ”が出ていますから、ちょっと切り口を変えようと。美智留という主人公を作ったときにサイコパスと設定しました。人間というのは、悪いことをするとき、金銭欲や物欲、感情のもつれなどが関係するじゃないですか。それが一切ない女。感情のない女。ただただ人が不幸になるのが楽しいというだけの女。そういう人間に設定しました。そういう感情のない人間なら、これだけ冷静に話ができるし、人の心も簡単にコントロールできるだろうなと思ったんです。もっと言うと、自分で偽りの感情を出すことも可能だろうなということを考えてキャラクターにしました。

内田:なるほど〜。

松井:どうですか?実際に、蒲生美智留を演じてみて?

内田:玲奈ちゃんとも原作の魅力をどう伝えるか?映像になったときに、原作とのバランスをどこまで考えたらいいのかというのを相談していたんです。原作の美智留って、本当に魅力的じゃないですか!なので、それをずっと考えていました。でも、どれが美智留の本心なのか…原作や脚本を読んでもわからなくて「これは、美智留の演技なのか?それとも本当に思っているのか?」ということを、私も探りながら演じていました(笑)。

中山:犯罪者が主人公の作品ですが、本を読み終わったときに胸くそ悪さだけが残るようではどうしようもないんですよ。やっぱり爽快感がないと。だから、爽快感を出すためにどうしたらいいかと考えて、被害者をろくでなしにすることを思いついたんですよ(笑)。

内田:(大笑い)

松井:(大笑い)

内田:発明!

中山:だから、出てくる被害者ってみんな尊敬できない人間ばっかりなんですよ。ろくでなしを成敗してくれるという形にすれば、最終的に悪女も正義の味方になるんじゃないかと。だから、爽快感は出ているんですよ(笑)。

松井:逆転の発想のヒーロー!

内田:そう!不思議とさっぱりするんですよ。爽快なんですよ。

松井:その部分もちゃんとドラマに活きていると思いました。ただ、自分の人生を破滅させられるだけではなく、みんな人生をもう一歩先に進んでいくというのは原作からの流れなんですね。

中山:実際の事件でもそうなんですが、詐欺に騙された人の話を聞くと、騙した人間のことを恨んでいない人が多いんです。「あの人は悪くないけど、私のせいでこうなってしまったんだ」と。そこはもう罠にハマっているんですけどね。そういうものを書けば、お客さんは喜んでくれるだろうなと。基本的に自分で何かを伝えたいというのはまったくなくて、とにかくお客さんに楽しんでほしいというところから、こういう作品になりました。だから、演じていただく方には、本当に悪女なんだけど、見ずにはいられない、話を聞かずにはいられないというふうに演じていただきたかった。それを、内田さんは見事に体現していただいていると思います。

松井:素晴らしい!

内田:うれしいですね〜。

松井:褒めてもらったね。よかったね〜。

内田:よかった〜。

中山:実は、脚本をいただいて拝見したときに、途中からは自分の原作というのを忘れていました(笑)。

内田:え〜!?

松井:え〜!?

内田:面白い!

中山:本当の話をいうと、書いた先から自分で忘れるんですよ。

内田:そうなんですね。

中山:自分で脚本を読んだときに「俺、こんなの書いたかなぁ〜」と思って…。

松井:生み出したら、どんどん忘れていく。

中山:新しいものを生み出すためには、古いものはとりあえず忘れたほうがいい。今、私の小説は78作あるのかな?だから、最初の話は本当に覚えていないですね(笑)。

この対談の全容は、スペシャルラジオコンテンツ「土ドラジオ 嗤わない淑女」で、現在YouTube東海テレビ公式チャンネルLocipoで配信中です。