――タイトル『さよならノワール』に込めた意味を教えてください。

「ノワール」はフランス語で「黒色」を意味し、フィクションの世界の中では「闇社会」や「犯罪映画」などを指す言葉でもあります。本作では、犯罪被害で受けた傷や、闇に落ちるような悲しい気持ちを「ノワール」に重ねています。

深い悲しみや苦しみの中にいると、一生この闇から抜け出せないような気持ちになりますよね。まわりから「もう大丈夫そうだね」と言われても、自分の心は全然そうではない。

でも、そんな中で誰かと出会い、手を差し伸べてもらうことで、その闇に別れを告げて一歩踏み出せる。そういう思いを「さよなら」に込めました。別れではなく、出会いの言葉として「さよなら」を使っています。

『さよならノワール』第5話より

――このタイトルが生まれるまで、どんな経緯がありましたか? 

最初に、なんとなく私が『さよならノワール』とつけましたが、「犯罪被害者支援室の話だと分からないのでは」という意見もあり、みんなで案を出し合いました。

たとえば、河毛さんが監督を務めたドラマ『新宿野戦病院』(2024年)からヒントを得て『池袋犯罪被害者支援室』など。『ソウルメイト〜犯罪被害者支援室〜』という案もありましたが、同じ時期に「ソウルメイト」という作品が配信されることを知って断念しました。

タイトルは、いつも“かぶり”に苦労します。「いいものを思いついた!」と思っても、調べると過去に同じタイトルのドラマが2本もあった、なんてことも。今回もスタッフで何回も話し合った結果、最初に戻って『さよならノワール』に決まりました。

小池栄子は明るく快活、北香那はコメディエンヌの才能がある

――夏海と絵梨子が衝突しながらも少しずつ補い合っていく関係が魅力的ですが、2人を描く上で意識したことはありますか?

まったく異なる人生を歩んできた2人にしよう、というのは前提としてありましたが、たとえ夏海と絵梨子が対峙するシーンでも、誇張した“キャットファイト”にならないよう意識しました。2人とも、人の痛みを想像できる人間にしたかったので、これまでの人生で失敗したり傷ついたりした過去があるということを、全話かけて少しずつ描いています。

『さよならノワール』第2話より

――小池さんと北さんの印象は、夏海と絵梨子に反映されていますか?

できているかは分かりませんが、私は、その役者さんがこれまでに演じてきた役とは違う顔を、どこか少しでも見せられたらいいなと思いながら書いています。

小池さんはとても明るくて快活で、姉御的なイメージがあると思いますが、今回の夏海はどちらかというとぶっきらぼうで、あまり冗談も言いません。深い傷をそのまま抱えて生きているけれど、それに振り回されない強さがある人物にしました。

『さよならノワール』第4話より

北さんは、コメディエンヌとしての才能がある方だと思います。絵梨子はちょっと勘違いしていて、やりすぎ感がある“痛い人”にしたのですが、「これは嫌われるかも」と思う場面も、北さんは演技の引き出しの多さで、愛される人物にしてくださっています。