<前田公輝 コメント>

温かく包み込みながらも、どこか希望を感じさせてくれる物語だと感じました。日々の生活の中で、近すぎるがゆえに大切な人に愛されていることさえ忘れてしまいそうになることがありますが、本作は自分を心から愛してくれる人の存在や、味方でいてくれる人の大切さを改めて認識させてくれます。感謝の気持ちを持って、また一歩前に進もうと思えるような作品です。

また、僕が演じた紀田諒司は、愛にあふれながらもどこか不器用な人物。法医学という分野を通じて、遺体の“心”をくみ取り、遺族が前を向くきっかけを届けるという“法医学ヒューマンドラマ”の持つ力に大きな魅力を感じました。この物語の一員になれたことを、とてもうれしく思います。

短い撮影期間でしたが、子役の長尾翼くんとたくさんお話できたことがとても印象に残っています。僕自身、6歳の甥(おい)がいることもあり、彼と過ごすなかで自然と“父性”のような感情がにじみ出ていたらいいなと思いながら向き合っていました。

また、山口紗弥加さんとの二人芝居も非常に心強く、瀧内公美さんとも共演できてうれしかったです。そして、念願だった並木道子監督との現場では、シーンごとに自分でも気づかなかった新たな感情を引き出していただき、非常に充実した時間を過ごすことができました。

自分が真実だと思っていることも、実は誰かの思惑によって形作られているかもしれない――。本作は、物事を多角的に見つめる大切さに気づかせてくれる物語です。不器用ながらも温かい愛が、生きることに少し疲れている方々の心に寄り添い、忘れかけていた大切な記憶を呼び起こしてくれるはずです。

この作品が、改めて愛する人や大切な人のことを思うきっかけになれば、うれしいです。