<【前編インタビュー】土屋太鳳 自身の身体の変化に驚嘆「貴重な時間に魅せられています」>

――ナレーションを終えての感想を聞かせてください。

人生は本当に難しいと思いました。もともと『ザ・ノンフィクション』を子どもの頃から拝見してきて、人生や人の難しさは痛感してきたつもりでしたが、ナレーションは視聴者の立場とは全く違う近い距離感がありました。

それゆえに自分のことのように感情が動くのですが、当事者に近い気持ちになる分、腹ただしさや戸惑いも共感を超える強さで感じ、驚きました。

ですがこの「共感を超えた強さ」こそ、この番組の魅力だと思います。

――何度落ちても卒業試験に挑み続ける研修生たちに共感する部分はありましたか?

とても共感しました。諦めることも時には本当に大切ですが、諦める時には、それまでの時間や思いも、一旦、手放す決意をしなければなりません。

私は仕事と大学の両立が難しく、8年という時間をかけて卒業しましたが、その時間はかなりつらいものでした。研修生のみなさんも、カメラがとらえていないところで、つらさや重さを持ち続けてこられたと思うんです。

続けようとする勇気は、先が見えない分、本当にパワーが必要だと思います。

――奮闘する研修生たちの姿に、ご自身の駆け出し時代を思い出すことはありましたか?

私が10代の頃、学園ものの作品がたくさんありました。作品を掛け持ちしていた人(俳優)もいますが、だいたい1クラスほどの人数の“同級生”がいたことになります。その人たちが全員、今も同じ職業についているかというと、そうではない現実があります。

才能だけでも努力だけでも続けることはできないし、急に何かのスイッチが入るわけではなく、毎日の積み重ねがスイッチになっていく…その実感を、研究生の方々の姿から思い出しました。

――土屋さんにとって、研修生を見守り、叱咤激励する西尾社長や指導係の押木さんのような存在はいますか?

います。家族です。この存在がなかったら、間違いなく私は今ここにいないと思います。でも家族でも届かない世界が仕事にはあって、そこをかきわけて支えてくれるのが友人だと思います。

私の場合は、友人という感覚の中に「ファンの方々」も入ります。SNSでしかやりとりできない方々もいらっしゃいますが、確実に心を支えてくださっています。

「迷わなければ迷路から出ることは出来ない」という言葉は、SNSのコメントでいただいた宝物です。

――改めて、番組の見どころを改めてお願いします。

2年という長い間ひとりの人に寄り添いながら、その過去をも紐解いていくところには『ザ・ノンフィクション』ならではの深さと厳しさがありますし、そこがあるからこそ、見る人の心の深い部分、見たくないと蓋をしてきた部分につながる物語だと思います。

何かに迷った時、続けるのか、別の道を選ぶのか。一見、二択のようでありながら、その迷い自体にヒントがあるのかもしれないと、改めて実感しながら言葉を寄せました。

<ナレーションの一部を紹介>

<予告動画>

YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!

5月14日(日)14時~「人力車に魅せられて3 ~浅草 女たちの迷い道~ 後編」 予告