2022年3月11日から遺族を中心に行われている『大川竹あかり』は、今年で5回目を迎えます。
そこには、佐藤さんが震災から時間がたつにつれて感じた、気持ちの変化があったといいます。

「遺族じゃなくても参加できる」全校児童“108本の竹あかり”

佐藤和隆さん:
たぶん震災から7年目、10年目だったら、いいやってなったと思うんですよ。10年過ぎたからこそ、こういうことが皆さんやっとやる気になれたっていうか。1人1人の気持ちも少し穏やかになってきたのかな。その前は、自分たちで何かをしようっていう気力はなかったですね。

佐藤さんを突き動かしたのは、震災当初から支え続けてくれていた、ある人の存在でした。

佐藤和隆さん:
俺は特にそうなんだけど、一番は安倍昭恵さんの支えが大きかったよね。震災後からずっと来てくれていて、今年も2月1日に竹あかりを作りに来てくれたし、3月11日も来てくれるんだけど。

震災直後から交流が続いているという、故・安倍晋三元首相の妻・安倍昭恵さん。佐藤さんたち遺族にとって、これまでずっと励まし、支え続けてくれた存在だったいいます。

佐藤和隆さん:
ちょうど震災から10年たった時に、(昭恵さんが)東京帰った後に電話をもらって「竹あかりっていろんなところでやってるんだけど、来年やらない?」って言われて。

佐藤和隆さん:
「お、いいよ」って。でもいいよっていうのはね、俺のイメージしてたのは切った竹にロウソクを入れるような小さいやつ。あれだったら作れるかなって思ったら、ところがどっこいこんな大がかりでしょ(笑)

昭恵さんが『竹あかりの演出家』を大川小学校に連れてきてくれたんだそう。

佐藤和隆さん:
ほとんどの地域では、10年過ぎると追悼行事っていうのはいったん終わって。逆にうちらは、10年過ぎてからこういう行事を始める。それもいいんじゃないかって皆で話し合って始まったかな。

2026年2月 竹あかり制作ワークショップ 提供:大川竹あかり

今年は、2026年1月25日に竹の切り出し作業を行い、翌週以降は毎週日曜日に「竹あかり制作ワークショップ」を開催。デザイン画を竹に貼り、ドリルで穴を開けて作られています。

そんな人々の思いからともされる竹あかりは、“天から見たときの形”にこだわりながら、毎年デザインを変えているそうです。今年のテーマは『つながる』。

「生き残った人たちが過ごした15年の日々と、亡くなった人たちが天国から見守りながら過ごした15年の日々が“つながる”」

そういった思いを、竹を円形に並べることで表現されています。

「当時の全校児童の数。亡くなった人数だけではなくその友だちも」と、“108本”の竹あかりを制作。地元からだけではなく、県外からも多くの人が手伝いに来てくれているそう。

佐藤和隆さん:
もちろん自分たちだけではできないし、いろんな人の支えがあってのこれなんですよね。
来てくれる人の話を聞くと、慰霊だけの行事だと「遺族でもない自分たちが行っていいのかな」「関わっていいのかな」と思うんだけど、こういう竹あかりだと「参加しやすかった」って言われて。
ワークショップをする中で大川小の話をすることもできるし。「遺族じゃなくても参加できるんだな」ってハードルが低いみたい。

設置作業が行われていたこの日も、大学生などが手伝いに来る姿が見られました。
一度参加した人が翌年も訪れたり、中には受付も担当してくれるスタッフのような参加者もいるといいます。

竹あかりは毎年一から作ることにこだわっているという佐藤さん。15年前、12歳で命を奪われた息子へ届けたい“ある思い”を胸に、竹あかり作りを大切にしているといいます。