――広報課の人々のどんなところを面白いと感じましたか?

安永:みなさんすごくクレバーだけれど、人間くさいところもあるんです。バックボーンはバラバラで、元警備の人もいれば元刑事もいて、元生活安全課の人も、元交通課も、元地域課もいて。集合体の面白さというか、警察組織が集約されている印象を受けました。

個性の強い人たちが多い広報課ですが、僕が忘れもしない出来事があります。

ある難しい事件を仕切っていた広報課のリーダーが「俺たちが普段、記者たちとこうやって付き合ってるのは、この時のためだろう!」と部下たちに檄(げき)を飛ばして、我々メディアと広報課の間をうまく取り持ってくれたことがありまして。その時に、やっぱり広報課はすごいメンバーが集まっているんだなと実感しました。

ちなみにドラマ第5話で、このエピソードが出てきます。

「報道の意味って何だろう」悩みながら作った第3・4話“実名報道”

――作品全体における、リアルとフィクションの割合はどのくらいですか? 

安永:半分ずつぐらいですね。たとえば、これは覚悟をもって話しますが、第2話のラストで捜査一課理事官・松永重彦(利重剛)が警察の隠蔽を記者たちに暴露しましたよね。

これは僕が実際に体験したことを援用しています。ある事件で警察が問題を矮小化(わいしょうか)しようとしたところ、最終的に捜査幹部が出てきて僕らにすべて話すという、凄まじいことが起きたんです。それが本当に忘れられなくて、第2話に取り入れました。

――よく知っている広報課の方々や自分たちメディア、言わば“身内”をドラマ化することへの葛藤はありましたか?

安永:それはないですね。ありのまま伝えるべきだと思っていますし、今はそんなの隠せる時代ではないじゃないですか。さまざまなメディアが発達しているので、隠してもバレますし。

ただ、そこを詳(つまび)らかにしていくことに対して、いろいろなハレーションはありましたし、社内での議論も重ねました。地上波という制約もありますし、どの辺を落としどころにするのかという葛藤はありました。でも、自分を含め身内を描くことに関しては、視聴者の方に実態が伝わればという気持ちのほうが強かったです。

メディアには良い面も悪い面もありますから、その“光と影”をきちんと出したいと考えました。僕が経験したさまざまなことが血肉となり、『東京P.D.』に反映されています。

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――ドラマの結末はもう決まっていますか?

安永:それは言ってしまうと、あれなんですけれど(笑)、でも基本的には、世の中に“答えが出るもの”ってほとんどないと思うので、そこは大事にしたいなと。みんなそれぞれの正義で動いたりするので、何が正しいかは分からないっていうのは、いろいろ経験して思いました。

僕も取材をしているときはのめり込みますが、一歩引いて「果たして自分は正しいことをしているのだろうか」と思うときもあるので、そういうところもメディアの姿としてドラマで映し出せたらと思っています。

中村:第3・4話はYBX テレビ社会部記者・稲田裕司(金子ノブアキ)が多く登場しましたが、記者の立場ということで、安永さんの目線に近い部分もあったのではないでしょうか。

安永:「実名報道」がテーマでしたが、報道の意味ってなんだろうとか、そこで生まれる葛藤とか、悩みながら作りました。おそらく稚拙な部分もありますし、きちんと描き切れたかは分からないですが、実名報道について、みなさんに考えていただけたらと思いました。

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