宮野真守が思う声優の仕事に大事なことは「真摯に向き合うこと」

──初めて声優の仕事をしたときの心境は覚えていますか?

覚えてます。もともと子役をやっていたので、いろいろな思いでマイクの前に立っていましたね。

──声優の仕事しようと思ったきっかけは?

オーディションです。子役時代はなかなかうまくいかなくて…劣等感まみれだったところにオーディション話をいただけたので、挑戦しました。そうしたら役を決めていただけて…いや、決めてもらったというより、拾ってもらった感じだったと思います。

吹き替えの作品だったのですが、右も左も分からないまま声を出して、「マイクの前で芝居をするというのはどういうことか」というのを音響監督に一から教わって。あとは、現場で先輩たちの背中を見て「ああやってやるのか」と覚えていきました。当時は必死でしたね。

ただ、テレビが大好きでしたし、自分がアニメや吹き替えの仕事ができるとは思っていなかったので、ワクワクも感じていました。一方で、実際に自分が吹き替えた作品の第1話を見たときに、めちゃくちゃ下手でがく然として。でも1年間のレギュラーだったので「お仕事がある!」といううれしさもあって。本当にいろんな感情がない交ぜになっていましたね。

――そこから約20年で、今やトップ声優ですが、仕事をするうえで大切にしていることはありますか?

真摯に向き合うことですね。30分アニメだと、アフレコの時間は3時間、4時間…今はコロナ禍でもっと短くなってきています。その時間で全力を出すためには、やはり作品や役への理解、準備、心構えがないといけないと思うんです。

ありがたいことに週に何本もアフレコすべき作品があると、1個1個がおざなりになっちゃう可能性もあります。でも、それは絶対ダメ。いろいろな役をやると頭の中の切り替えも大変ですが、そこで自分がしっかり意識持たないといけない。

ひと作品ごとに意識をしっかり構築していくことは、シンプルなようで結構難しいですが、一番大事だなと思いますね。

──作品に入るときの準備は、どのようにしていますか?

例えば面堂だったら、面堂としての説得力を持たせるためには、もらった台本以前の彼がどう生きていたのかが大事で。

次に収録する台本の話だけを勉強するというよりも、面堂のことを自分の中に充満させるようにということを考えています。そうしないと、ポッと言ったひと言が嘘になってしまいますから。

【コラム:最近、気になる“声優さん”】

山寺宏一さんですね。山寺さんとは僕が19歳の頃に出会っていて、その頃から変わらず接してくれますし、優しい方。最近またご一緒させていただく機会が増えています。

なぜ今気になってるかと言うと…いまだにガツガツしているというか。「バズりたい!」って、この前も行っていましたし(笑)、その攻めの姿勢には、本当に頭が下がりますね。

自分をアップデートさせていくということを、ずっとやってらっしゃる方で。近くにいると「自分ももっと頑張らなきゃ」と思うし、すごく気になる存在です。

撮影:山口真由子
ヘアメイク:C+Chica
スタイリング:横田勝広(YKP)