宝塚歌劇団の元スターに、輝く秘訣やこだわりを語ってもらう「宝塚OG劇場」。第11回は、大空ゆうひ(おおぞら・ゆうひ)さんが登場。
クールな美しさと深みのある演技力で、宙組男役トップスターとしてファンを魅了し、2012年の退団後は舞台を中心に幅広く活躍中。
10月23日(日)から明治座で上演される舞台「羽世保スウィングボーイズ」に出演します。本作は2021年夏に博多座と大阪新歌舞伎座で上演され、今回、東京にて初のお披露目。
物語の舞台は、九州のとある都市・羽世保。造船会社の溶接技師・五代剛(博多華丸)ら社員は、和太鼓部やタップダンス部として市民フェスティバルでの入賞を目指し、日々、練習に精を出していました。
しかし、会社は業績低迷から解体の危機に。さらには剛の持ち前の熱心さが裏目に出てしまい…。そんなある夜、五代は会社を救うアイデアを閃(ひら)めきますが――。
本作で謎のジャズシンガー「チェリー・バード」役を演じる大空さんに、フジテレビュー!!がインタビュー。
作品への意気込みや、宝塚時代から変わらないこと、マイブームなどを聞きました。また、タカラジェンヌOGといえば、オシャレで個性的なファッションも魅力のひとつ。そこで、それぞれの“こだわりの一着”も紹介してもらいました。
【写真11枚】大空ゆうひフォトギャラリー
楽しみながら、笑いながら、座長・博多華丸について行く
――約1年ぶりの公演にあたり、意気込みを聞かせてください。
笑いあり涙ありで、年齢性別問わず多くの方に楽しんでいただける作品だと思います。ずっと「ぜひ東京でも上演できたらいいな」と思っていたので、今回、明治座でみなさんに見ていただけることがうれしいです。
――ジャズシンガーの“チェリー・バード”こと桐野亜沙子役ですが、今回はどのように役作りをしていきたいですか?
亜沙子は、夜はジャズシンガー、昼はまた別の顔を持っている、なかなか自由奔放な女性なので、その相反する面を楽しみたいです。
とても変わったキャラクターなのですが、みなさんに「亜沙子ならやりそう!」と思っていただける雰囲気を出せたらいいなと思っていて。今回はその面をもっと膨らませて面白くするために、もうちょっと亜沙子の深みや厚みを出しつつ、余分なものを削いでブラッシュアップできればと考えています。
共演者のみなさんとまたお会いして感じるものを大切にして、亜沙子を作り上げていきたいです。
――座長の博多華丸さん(博多華丸・大吉)の印象はいかがですか?
華丸さんは、本当にみなさんから愛されています。黙々とご自身の役作りをしていらっしゃるのですけれど、その背中には、みんながついて行きたくなるような大きさがあります。
華丸さんはシャイな方だと思いますが、この座組を本当に愛してくださっていて。みんな楽しみながら、笑いながら、華丸さんについて行っています。とってもいいカンパニーなので、その楽しさも作品に乗って、お客さまに伝わるといいなと思います。
宝塚にいたときと退団後では、職種が違う感覚
――宝塚歌劇団を退団して約10年になりますが、宝塚時代から今も大切にしていることはありますか?
一つひとつの作品に対して、誠実に向き合うことでしょうか。
私たちの仕事は、毎回、違うチームで取り組んでいくものです。そのチームの中で、自分に何が求められているのか。演出家の方の思いや、脚本に描かれている世界に、どれだけ波長を合わせていけるかを、私は大事にしています。
そして波長を合わせつつ、自分にできることをする。自分だからこそできることを見つけていけたらいいなと思いますが、まずはその作品が俳優たちに何を求めているかを、アンテナを張って感じ取ることを大切にしています。
その姿勢は宝塚でも同じでしたが、宝塚は“主演ありき”で作品が作られていく部分もあるので、立ち位置がまた少し違うと思います。トップだったときは、自分が中心となって作品を見渡していく感覚でしたが、退団後は「この作品の中で、私の立ち位置はどこで、どういう役割であるべきか」をもっと考えています。
1枚の絵にたとえるなら「私はこの色かな」とか、料理だったら「こういうスパイスであるべきかな」とか。全体の中にいる自分を、ちょっと俯瞰で見るようになりました。
――考え方や立ち位置の変化を、どう感じていましたか。
退団して初めの頃は、自分が培ってきたものをどこまで有効利用していいのか、むしろ邪魔なのか、混乱していた部分もありました。私は男役でしたし、宝塚にいたときと退団後では、もはや職種が違う感覚で。
でも10年で、そのバランスが少しずつわかるようになってきて、最近はスッキリと見えてくるようになりました。やっと息をしやすくなったような感じです。
――「宝塚での経験が活きている」と思うことがあれば、教えてください。
やっぱり舞台上での居方やマナーはすべて宝塚で学んだので、今も決して無駄にはなっていないと思います。
宝塚は男役独特の見せ方や、所作、舞台マナーなど厳しいところでもあるので、退団直後の私には、それ故の堅さもありました。「自由にしていいよ」と言われると、結構難しく感じてしまうというか…「自由ってなんだろう」みたいな(苦笑)。でも今は、堅さと自由さの両方を楽しめるというか、なんとなくバランスが取れてきたと思います。
宝塚には“古典的な型”があると思うんです。たとえば、「こうあるべき」という男役像とか、様式美とか。歌舞伎と少し似ているかもしれません。
でも宝塚を退団した今は、そういうものがないので自由に表現できます。抑圧された中で生まれる魅力も、解放された広がりのある魅力も、どちらも知ることができて、すごく得をしているな、二度美味しいなと思います。
野鳥観察が趣味!「都心でも意外といろいろな鳥が飛んでいる」
――最近のマイブームがあれば教えてください。
野鳥観察にハマっています!コロナ禍でお仕事がいくつか中止になったときに、よく散歩をするようになって、いろいろな鳥が目に入るようになりました。
「あの鳥、見たことない。何だろう?」と思ったらまず携帯で写真を撮って、家へ帰ったら種類を調べる、というのが趣味になりつつあります(笑)。
――印象的だった鳥はいますか?
舞台公演で長野県松本市へ行った際に見かけた「セグロセキレイ」という、すごくきれいな鳥です。東京ではあまり出会わない鳥ですが、松本では街中に飛んでいました。
都心でもハト、スズメ、カラス以外にも、すごく珍しい鳥やきれいな鳥など、意外といろいろな種類の鳥が飛んでいますよ。
あと、野鳥観察のほかに「地域猫探し」も趣味です。目をこらすと、いっぱいいるんです。私はどんなに急いでいても、猫がいたら必ず立ち止まって写真を撮るのが癖です(笑)。
――デビュー30周年を迎えた心境と、今後やってみたいことを教えてください。
退団後の私は、20年間の宝塚生活で培ったものをそのまま継続するのではなく、「まだ学び直すことがたくさんある」と感じたところから、スタートしました。
私は男役しかやったことがなかったので、そこからの“リハビリ”に結構手間取ってしまって。でもある時、急にスッと楽になったんです。
今は、お仕事で楽しめることがどんどん増えていく予感がして、とっても楽しみです。具体的に何をしたいかはあまり考えていないのですが、お芝居もお歌も、とっても楽しくなってきたので、毎回違う自分を発見できるんだろうなと思って。
歳を重ねても、これだけワクワクできるってすごく幸せだなと思います。これからも自分の世界を広げつつ、いろいろなものに新鮮な気持ちで飛び込んでいきたいです!
<こだわりの一着>形のいい白Tシャツ
私は「形がいいもの、自分に合うものは迷わず買う」を信条にしています。
このTシャツは、今年の夏に見つけました。初めに1着買っていたのですが、「定番ではなくて今期のデザイン」という情報を聞いて、慌ててお店に飛び込んで、もう1着買いました(笑)!同じものを2枚持っています。
デニムも形がいいなと思って、色違いで黒も買いました。この帽子も今年購入したものですね。白い帽子は前から欲しくて。白Tシャツだけだと寂しいときにかぶると、ちょっと気分が上がります。
今年の夏は、ほぼこのスタイルで過ごしました。
――大空さんにとって「自分に合う」洋服は、どんなものですか?
お洋服って、型や縫製のちょっとした違いで、似合ったり似合わなかったりすると思うんです。私は日本のレディースサイズと比べて規格外に大きくて(苦笑)、なかなかぴったり合うものがないので、見つけたときに買っておきます。自分に合ったものを、長く着続けるのが好きですね。
撮影:河井彩美