今回の医師役は「間の使い方が新鮮だった」

──取材時に『院内警察』は2話まで放送されていますが、どのように見ていますか?

1話は10回以上見ました。僕は4話からの登場なのですが、1話はリアルタイムで金曜日の本放送を見て、その後も作品自体が面白いので毎日1回は見ていました。

僕が登場する4話の撮影がスタートした頃には、もちろん1話分の撮影は終えていたので、完成した映像を見て「あぁ、こういうシーンがあるんだ」と新鮮でしたし、『院内警察』の現場を知っている身からすると「あ、これはあのロケ地だ」と思い出しながら見ることもできて、面白かったですね。

あと、オープニングも毎回変わっていく感じですよね?1話と2話では武良井さん(桐谷健太)が横断歩道を歩く方向が違う気がしたのですが…。あのオープニングに僕も入ることになりますから楽しみにしていてください。

──そうなんですね!

はい。ただ、オープニングの撮影はすごく緊張しました。額縁が印象的なカットがあるのですが、本編でまったく絡みのない方々と、みんなで一気に撮影したので(笑)。

──前川大樹はどのような役だと捉えて演じましたか?

前川は、循環器内科の医師ですが、ものすごく人間臭くて、熱意を持った青年。でも、自分が「こうしたい」と思うことを上司に邪魔されてうまくいかなくなり、挫折してしまう役柄です。

社会でも、例えば学校でも、部活で「この練習がしたい」と思っても先輩や先生から「これをやりなさい」と言われてできず、苦しくて、心が折れて、辞めてしまったという人も多いんじゃないでしょうか。そういう意味で、前川は幅広い層に共感されやすい役なんじゃないかな、と思っています。

──前川を演じながら、そういった苦しみを感じましたか?

そうですね。研修医時代などの過去と現在が描かれるのですが、現在のパートはとにかく心に負荷がかかっている状態のシーンが多くて。葛藤を抱えているというか。

ただ、一つだけ何でもないカラッとしたシーンがあって…そのシーンの撮影は、なんだか変な感覚で、セリフを噛んでしまいました。

ずっと葛藤を抱えて、心が羽交い絞めにされていたのに、急にパッと離された気分で、ふわふわしてしまって。あれは不思議な体験でした。

──前川を演じたことで、何か得たものはありますか?

間(ま)の使い方はすごく新鮮でした。いろいろな過去を思い出しながらしゃべるシーンが多く、回想が入るところもあったので、監督にも「間を取るのを恐れずに」と言われていて。舞台ではそういう間を取ることはあまりないので、新しい経験でした。

──医師を演じることも初めてだったと思いますが、その点で難しさなどはありましたか?

以前、朗読劇で精神科医を演じたことはありましたが、今回、セリフに医療用語が本当に多かったので大変でした。

僕、野球が好きでよく見るのですが、「解説者はそんなに専門用語を立ててしゃべっていないな」と感じていたので、前川もあまり医療用語を立てすぎずに言おうと思っていたんです。医師にとってその言葉は日常的に使っているものですから、「あえてこの言葉を使ってます」とは見えないように、と。

でも、何も立てずに話してしまうと、視聴者としては聞き取れなかったり、何をしゃべっているのかが分からなくなったりするということで、部分的に「立ててください」と言われるセリフもあって。立てる部分と立てない部分の切り替えというか、表現の仕方が難しかったです。