『元彼の遺言状』第7話完全版

剣持麗子(綾瀬はるか)のもとへ、かつての上司・津々井君彦(浅野和之)から緊急連絡が入る。なんと津々井が、電車内での痴漢行為で逮捕されたというのだ。

<ドラマ『元彼の遺言状』これまでのあらすじ完全版>

警察署の接見室で「冤罪だ」と麗子に訴える津々井。事務所の部下に知らせることもできない津々井は、事務所には病気で1週間休むと伝えて麗子に助けを求めていた。だが麗子は、専門外だといって弁護を断る。

すると津々井は、大手食品会社「ひぐま食品」の案件を麗子に任せる、と言いだした。本日13時に会う約束をしているという。

麗子がそれを引き受けると、今度はホストの黒丑益也(望月歩)から電話が入る。黒丑は、自分の太客である山谷典子(高田聖子)を麗子に紹介。典子は、父親の死因について調べてほしいという。父親は財産目当てで近づいてきた後妻の女に毒を盛られた、というのが典子の主張だった。

麗子は、「死因の特定は警察の仕事だ」と告げて席を立つと一旦事務所に戻り、先にひぐま食品へ向かって場をつないでおくよう篠田敬太郎(大泉洋)に命じた。

ヒグマ食品は、1兆円を超える大規模なM&Aを控えていた。だが、同社総務部長の武藤利夫(谷川昭一郎)と商品開発部の木村崇(川島潤哉)は、頼みたいのは別件だと言って、遅れてやってきた麗子に1枚の紙を見せる。

それは「5月23日、社員食堂の毒入りシチューで死人が出る」という脅迫状だった。

土日に一般開放もしているため人気だという、この社員食堂。そこで麗子たちは、社員食堂の責任者・小野香澄(西山繭子)を紹介される。篠田が食堂を褒めると、礼を言った後、「うちはスタッフ一同、自分たちの料理に誇りを持っています」と答える香澄。

木村は、落ち着くまで社員食堂を閉店するべきだと主張する。だが、香澄は、週末には取材も入る、といって嫌がらせには屈しないと言い放った。

翌日、麗子は、津々井の身柄を引き取って事務所に戻る。ひぐま食品の件を気にしていた篠田は、犯人がアガサ・クリスティの「ミス・マーブル」シリーズの「予告殺人」を読んだ可能性があると言いだす。

だが、麗子は、「単なる嫌がらせだといって相手にしない。騒ぎを大きくしたいのなら社員食堂ではなく、売られている商品をターゲットにすればよいし、日付を指定する意味もない」というのだ。

そこで津々井は、「社員食堂を有名にしたのは香澄の手腕だ」と麗子たちに話す。ひぐま食品の社員食堂は、もともと外部の業者が運営していたが、数年間から、主に商品開発部の社員を中心に社内で運営するようになったのだという。

香澄と木村は同期で、ライバル関係らしい。ちょうどそこに、木村から連絡が入る。今度は社内に大量の中傷ビラが撒かれたという。麗子は、昨日の社員の勤怠記録を調べるよう指示した。

事務所にやってきた森川紗英(関水渚)は、津々井が痴漢容疑で捕まったと知って軽蔑の目を向ける。麗子は、無罪ではなく示談を狙うべきだと提案するが、津々井は応じようとはしない。だが、すでに麗子が津々井の妻に事情を伝えて話を聞いていると知り、がっくりと肩を落とした。

そこに、痴漢被害者側の弁護士から電話が入る。これから事務所に来るという。

そのとき、タイミング悪く現れたのは、黒丑と典子だった。父親の後妻が死んでしまったというのだ。典子は、父親と後妻の女性がまだ籍を入れていなかったと知って安堵し、実家に赴いて遺品の整理をしようとしたという。

するとそこに、後妻の女性がおり、通帳を持っていたらしい。空手経験者だった典子がその通帳を手刀で叩き落すと、女性は突然逃げ出した。すぐに追いかけた典子は、女性を捕まえたが、女性はそこで突然倒れてそのまま亡くなってしまった。

その後、父親の銀行印が無くなっていることに気づいた典子は、困り果てて麗子を訪ねてきたのだ。麗子は、その対処方法は後でメールすると告げ、取り敢えず黒丑と典子を帰らせた。

そんな典子たちと入れ替わるようにやってきたのは、痴漢被害者の代理人弁護士だという若松紳助(三浦誠己)だった。

大手のKMT法律事務所に所属する若松がやってきたことに驚く麗子。若松は「被害者とは以前、付き合いがあったからだ」と理由を説明した。続けて若松は「卑劣な加害者のことは絶対に許せない」という被害女性の言葉を伝え、示談には応じないと宣言する。

だが、人を見下すような若松の態度に腹を立てた麗子は、クライアントも示談を望んでいるわけではないから無実を証明すると言ってしまい…。

翌日、麗子のもとに、ひぐま食品の社員の出勤票が届く。それを見た麗子は、あまりにもクリーンすぎる労働環境に逆に不審を抱いていた。

一方、紗英と黒丑は、清掃業者に成りすまし、津々井の事務所から彼が扱った案件の資料をこっそり運び出す。津々井が、若松の名前に見覚えがあると言いだしたからだった。

そこに、またもや木村から電話が。今度は、社員食堂の蛍光灯がすべて外されていたというのだ。麗子は、不安を隠せないでいる木村に、過去3年分の出勤票を見せてほしいと頼む。

さらに、警察から連絡があったことに動揺し「殺人犯になってしまうのか」と駆け込んできた典子には、警察に協力するよう指示した。

ほどなく、麗子たちは、津々井が「ハヤテ自動車」の集団訴訟の際に若松と会っていたことを知る。

その案件は、コストカットのために閉鎖した工場の従業員たちが不当解雇だと集団訴訟を起こしたもので、ハヤテ自動車の代理人だった津々井は、1人50万円の一時金と再就職の斡旋を約束して和解させていた。

資料の中には原告側の履歴書があった。そしてその中には、津々井から痴漢されたと訴えた女性・平井茜(三戸なつめ)の履歴書もあり…。

痴漢事件がねつ造だったことを受け、若松は茜を伴って麗子のもとを訪れて謝罪する。茜も、津々井に頭を下げた。だが、茜が今回の騒動を起こしたのは、ハヤテ自動車側の再就職斡旋が形ばかりのものだったことが原因だった。

電車の中で偶然、津々井を見かけた茜は、その時の恨みを晴らそうと痴漢騒動を起こしたのだ。それを知った津々井は、茜に謝罪し、ハヤテ自動車に対して納得のいく説明を求めることを約束する。

痴漢騒動を片付けた麗子は、篠田にひぐま食品の2年前の出勤票を見せる。その中に、2年前の5月23日に忌引きで休んでいた社員がいた。それは、社員食堂で麗子たちが食事をとったときに給仕してくれた徳丸浩次(名村辰)だった。

篠田とともにひぐま食品を訪れた麗子は、紗英と黒丑を客として社員食堂に配置し、店内の様子をモニタリングする。徳丸は無断欠勤していた。そこで、事情を理解していない黒丑が、シチューをオーダー。恐る恐る口に運ぶが、毒は入っていなかった。

麗子は、「本当に殺すことが目的なら日付を指定するはずがない。これはただのいたずらであり、犯人はシチューに毒物を入れることは絶対にない」と説明。理由は、「商品に対して誇りを持っているから」。犯人は社員食堂にいる従業員全員だったのだ。

従業員たちは、社員食堂の運営や新しいメニューの開発、イベントやレシピ本の作業などに追われ、休む暇もない状況に。そんな折、母の3回忌に休むことが許されなかった徳丸が、脅迫状を送り付けていた。

だが、それでも食堂が休みにならないと知った仲間たちが、嫌がらせに協力したというのが真相だった。

香澄は、そんな従業員たちの行動に怒り、「彼らを訴える」と津々井に告げた。すると津々井は、「もしそうするなら従業員全員から聞き取り調査をしなければならない」と返す。従業員たちは、香澄の顔色をうかがっていて、「サービス残業が常態化していたのではないか」と。

津々井は、今回の礼として、麗子と篠田を高級すし店に連れて行きごちそうする。そこで、麗子は、津々井が嘘をついていたことを指摘。実は津々井が電車に乗ったのは、車が故障したからではなく、最近様子がおかしい妻の浮気を疑い、尾行していたからだった。

麗子によれば、津々井の妻は浮気などしておらず、純烈にハマっていただけで…。

津々井は、篠田が席を立った際、「あの男には気をつけたほうがいい」と麗子に忠告する。森川家の人間も、別荘の関係者も、誰ひとりとして篠田の素性を知らないのだ。

しかし麗子は、「篠田が篠田じゃなかったら、どうだというんですか?」と返す。「本当のことは言いたくなったら言えばいい」というのが麗子の考えだった。

別の日、麗子の元へ、典子から電話が入る。死亡したという父親の後妻は、銀行印を飲み込み、その神経性ショックが原因で亡くなったのだという。典子も罪に問われることはないらしい。

麗子が電話を切ると、篠田が突然、ぬか床をテーブルに置いた。ぬか床の中からビニール袋を取り出し、その中には、偽造した身分証がいくつも入っていた。すると篠田は「僕は殺人犯なんだ」と告白して…。

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