役者が出す写真集とは毛色がまったく違うものになっています。本来であれば、表紙に自分の顔がドーンと載っているものが一般的で、ファンの皆さんもそういうものを求めてくださる方がほとんどだと思うのですが、今回はフォトグラファーとしての僕のプライドをつめ込みたかったというのが一番のこだわりです。

――モノクロ写真に布張り、タイトルロゴは箔押しという表紙の装丁がとても素敵です。

こだわり過ぎたせいでビックリするくらい高額になってしまいましたが(笑)、そう言っていただけるのは嬉しいです!モノクロが大好きで、私服や小物なども白と黒が多いのですが、この写真集がインテリアの一つとしてリビングなどに置かれたとき、違和感のないものにしたかったという希望があって。

旦那さんやお子さんのいるお宅だと、僕の顔の“モノ”ってなんだか置きづらいじゃないですか(笑)。手にしてくださった皆さんの感性が広がるものになればという思いも込めたので、そういう意味でも納得のいく表紙になりました。

古屋呂敏 探求心があふれる瞬間が「心地いい」

――普段はどのような被写体を撮っていますか?

基本的にはポートレートやファッション撮影が多いですね。この写真集でいうと、セルフポートレートのほか、花や風景の写真も多く掲載しています。

――創作のインスピレーションはどんなところから得ているのでしょうか?

アウトプットばかりしていると自身が枯渇しちゃうので、様々なフォトグラファーの作品を見る日を設けたり、映画を観たり、そのほか、普段プレーする機会はないけれども、テニスに行ってみようか、などと新たなチャレンジをしてインプットしています。

『MY FOCAL LENGTH』より

――今、撮ってみたい人物はいますか?

所属事務所の先輩でもある大泉洋さんを撮ってみたいです。『元彼の遺言状』(2022年/フジテレビ)という連ドラでご一緒させていただいて以来、とてもよくしていただいている大好きな役者さんです。

ユーモアにあふれた大泉さんも素敵ですが、モノクロで影などをとり入れたポートレートを撮ってみたいですね。顔に刻まれたシワから伝わる歴史、奥に秘めた魅力を写真で表現してみたいです。

――ファインダーを覗いている瞬間はどんなことを考えていますか?

覗いているときは自分というものがあまり存在しないんですよ。もちろん、構図やライティングなどは意識しますが、「いいな」と感じたものを心のまま、シャッターを押し続けます。

――“無”ですか?

“無”ともちょっと違うんですよね。自分の探求心がブワッとあふれる瞬間がすごく心地よくて、言語化することが難しい感情です。