──ロリはどのような人物だと捉えて演じましたか?
ロリ編は、1話から女性が直面している課題や問題点に真っすぐ斬り込んでいます。そのなかで生きるロリは、「偏見をぶっ壊す」と明確な理想を持って突き進んでいて、その思いは共感できますし、とても好意的に受け止めながら収録ができました。

──演じるなかで感じたロリの魅力を聞かせてください。
まず自分のことを“可愛い”と受け止められることも一つの強さかな、と。私自身はあまり自信を持てないタイプなので、うらやましく思っていました。
でも、受け止めてしまったからこそ苦しい部分もきっとあるはずで。『TO BE HERO X』に出てくるヒーローは、自分との向き合い方が十人十色だなと、ロリを通して実感しています。
ロリの葛藤に佐倉綾音も共感!「偏見を持たれたくないなら、努力も必要」
──戦闘シーンはかなり激しい印象ですが、収録は大変だったのではないでしょうか。
そうなんですよね。自身が開発したメカニックをまとって戦うのですが、マスクのモニターに表示される表情が、収録の段階では明確にわからない部分もあったので、その点は大変でした。
でもロリは、華奢な体にしっかりとしたメカニックをカッコよくまとい、とても軽やかに戦うので、“可愛い”に甘んじない剛腕っぷりを手加減なしで表現したいなと思い、戦闘シーンは気合を入れて収録しました。

──戦闘シーン以外で、印象に残っている場面はありますか?
ロリ編の1話にあった、髪を切ろうとするシーンです。ロリは小さい頃から強いヒーローを目指していましたが、周囲が「可愛い」という感情を持つと信頼値が下がり、自身の筋力などを落とすと知り、一方で可愛いものが好きなこともあり悩んでいました。
悩んだ末に「可愛い」と言われないために、髪を切ろうとするのですが、「なんでそれで私が変わんなきゃいけないのよ」というセリフがあって。それはそうだよなとすごく共感したんです。
ただ、偏見を持たれたくないなら、それなりの努力も等しく必要だとも思いますし、すごく難しい問題だな、と。このシーンは台本をもらってからいろいろと考えてしまいました。
──その後、どういった気持ちでシーンに臨んだのでしょうか?
いろいろ考えてしまったのは、完全に私個人の感情で(笑)。ロリのセリフを受け止めた私が、「自分だったら…」ということをプライベートで考え込んでいただけなんです。ロリの考え方は「どっちも諦めたくない」とシンプルに力強く打ち出されていたので、収録自体は何も引っかかりなく臨むことができました。

──そういった問題を、日曜日の朝に放送する番組で投げかけられるというのも新鮮ですね。
本当にそうですね。“偏見を持つ側”の人がこのシーンを見たときに、何か引っかかりを持ってくれたら…「考えを曲げて」とまでは言わないので、「こういう考えの人もいるんだ」と耳を傾けるきっかけになっていたらいいなと思います。
【リレー企画:松岡禎丞さんにヒーローネームをつけてください!】
『TO BE HERO X』に登場するヒーローを演じている豪華声優10人にリレーインタビュー。
今回はヒーローランキングNo.6のロリを演じる佐倉さんに、ヒーローランキングNo.5のリトルジョニーを演じている松岡禎丞さんの“ヒーローネーム”を命名してもらいました。

難しいなぁ…「センシティブ・ストレートカーブ」という感じでしょうか。
松岡くんはとても真面目で、真っすぐで、繊細だけど熱くて。はたから見ると、もしかしたら曲がった方向に真っすぐ突き進んでいるように見えることもあると思うんです。実は私もそういうタイプだという自認があるのですが、本人が納得して進んでいることが大切だと思っていて。
松岡くんとは同期なので、お互いデビュー当時から知っていますが、彼なりに真っすぐ走り続けている様子を見ていると、そんな彼の進み方が否定されない社会だといいなと思いますね。
撮影:今井裕治