――枕投げのシーンに視聴者はかなり盛り上がっていましたが、ドラマの反響は中井さんのもとへどのように届いていますか?
僕たちキャストがこの作品で大事にしているのは、登場人物全員が負を抱えているけれど、それでも一生懸命に生きている大人たちがいる、ということなんですね。
『続・最後から二番目の恋』(2014年)のときもそうでしたが、このドラマって僕たち世代と、なぜか小学生がものすごく喜んで見てくださるんですよ。どうして、その間の世代に響かないのかとも思うのですが(笑)、大人たちが一生懸命に生きているのは、多分、小学生が一生懸命に生きているのと変わらないんじゃないかって。
そういうひたむきさが視聴者に届いて、必死に生きている大人たちに自分を投影しながら見てくださるし、子どもたちは「おもしろい」と言って見てくれている。
千明が「ここ(実家)に帰ってきたら、私はいつだって子どもになれる」と枕投げを始めたように、大人になっても変わらないんだと、子どもたちにも楽しんでもらえているのだと思います。

――この作品と長倉和平というキャラクターは中井さんにとってどのような存在ですか?
自分と一番近くて一番遠い役でしょうか。僕自身は絶対にこんなことしないと思うところがたくさんあるけど、すごくかけ離れているからこそ、理解ができるというのが長倉和平。それぞれがリスペクトしながら、それぞれを思い合っている家族の関係性がドラマを支えてくれていて、日本人が忘れてはいけないものだと思っています。
中井貴一 最期に出演する映画は「すべて棒読みで」
――めざましmediaのコンセプト“好きでつながる”にちなみ、中井さんの好きなものを教えてください。
“夢”です。それはいい夢かもしれないし、悪夢かもしれない。今の僕のすべてですね。
――ちなみに今、目の前にある夢は何ですか?
今はやはり『先生の背中』の舞台です。観終わったお客様が劇場の外に出たときに「現実に戻っちゃったな」と余韻を感じ、その後にご友人などと食事をしながら舞台の感想を話して、そして、帰るときにはもう舞台のことを忘れていてもいいとさえ、僕は思っています。
それくらいの感覚で、日常とは違う時間を味わっていただきたいというのが僕の舞台観なので、食事をしているときにでも皆で夢を語ってもらえたらいいですね。