――心の声を明かすモノローグは印象的ですが、どのように撮影しているのでしょうか?

平野:まずリハーサルをやって、すぐに声だけを録るんですよ。本番では、その声を流して演じてもらっています。リハで「こんな感情だよね」と確認して、その感情のままセリフを言ってもらい、それを録ってすぐ編集してスタジオで流す、というホットな状態です。

宋:そのおかげで芝居がちゃんとつながりますよね。

平野:毎回すごい手間ですけど。1回ごとに録るのは。

宋:まとめて録れればいいんですけど。

平野:そうすると、(感情が)うまく合わなかったりする危険性があるので。

宋:その場その場での気持ちを大事に撮影しています。

芳根京子に平野監督が課した「果敢なチャレンジ」

――芳根さんと本田さんの俳優としての魅力について聞かせてください。

平野:芳根さんは視聴者に伝わるお芝居をしてくれますよね。感情がわかりやすいというか。彼女の演技なら、モノローグがなくてもいけるんじゃないかなと思うくらい。

実は今回、彼女に「1つの言葉を2つの意味を持って言う」という果敢なチャレンジをしてもらっているんです。

例えば、第2話でなつ美が貝殻を持って瀧昌に向かって「きれい」というシーンがあるのですが、「貝殻がきれい」というのと、「瀧昌のこともきれい」という2つの意味を込めてセリフを言って欲しいとお願いしました。

第2話

彼女はこちらの意図を理解した上で、ちゃんとクリアしてくれるので、「すごいな」と。ほかのちょっとした仕草にしても、少しハードルを高くしてお願いするようなことが多いですね。

響矢くんは先ほどもお伝えした通り、いい意味で少し不器用なところがあって。でも、それは俳優として絶対的な武器でもあると思っています。

将来的にはまた違ってくるでしょうけど、今この作品で見せるさまざまな表情や演技は今の彼にしかできないと思うので、そのままでいてほしいです。

第4話

芳根京子がいるだけで現場が明るくなり「みんな彼女について行こうとなる」

第2話

宋:芳根さんは監督も言う通り、芝居に関してはまったく心配がありません。なつ美を演じていただくにあたり、芳根さんが持つ健気(けなげ)さが見たいという思いはありましたが、それを超えるお芝居を毎回見せてくれています。

加えて、座長として共演者や監督、現場のスタッフとコミュニケーションを取るところも間近で見ていますが、いるだけで現場が明るくなるんですよね。

みんな彼女について行こうという気持ちになりますし、それは芳根さんの人としての魅力であり、俳優としての魅力でもあるのではないでしょうか。

第3話

本田さんは、キャスティングを決める前にお会いして、すごい好青年だなという印象を持ちました。一つ一つの質問に真面目に答える姿がとても素敵で、瀧昌という役にぴったりハマるんじゃないかと思いました。

実際、撮影現場ではひたむきな彼を周りのみんなが支えようという雰囲気になってますし、それはもう彼の持つ人間味のおかげだと思うんですよ。ドラマではそんな彼が少しずつ成長していく姿を見ることができるのではないかと思っています。