SKY-HIさんが、自身が率いるBMSGの10代アーティストが見せた“まぶしさ”、ティーンの才能の見出し方と育て方について語りました。
FODで配信中のドラマ『ゲート・オン・ザ・ホライズン〜GOTH〜』(以下、GOTH)は、沖縄の高校生たちの抗争や友情、成長を描く“青春バカ×ミステリー×アクション=チャンプルードラマ”。SKY-HIさんが企画を担当した本作には、BMSG所属のRUIさん、TAIKIさん、KANONさん、edhiii boiさんが出演しています。
自身もラッパー、アーティストとして活躍し、BMSGが主催するオーディション企画では、BE:FIRST、MAZZEL、HANAなどの数々のアーティストの才能を見出してきたSKY-HIさん。初挑戦したドラマ内で輝く4人の魅力、才能を育てるうえで大切にしていること、そして忙しい中での時間の使い方などをたっぷり聞きました。
SKY-HI「いい青春になるようにサポートするのが僕ら大人の仕事」
――『GOTH』の完成版を見た感想はいかがですか?カオティック(混沌とした感じ)でありながらも、彼らの素のキャラクターが存分に発揮され、カラッとした雰囲気が前面に出ている印象を持ちました。
いいですよね(笑)。それがやっぱり彼らの魅力だし、10代が主演である所以な気もします。猥雑(わいざつ)さとカオスというのは、『池袋ウエストゲートパーク』(以下『IWGP』)にも通ずる堤幸彦監督の持ち味のひとつだと思っています。堤監督は自分のことを「不埒(ふらち)」だとおっしゃっていましたが、そういう部分が本作でもすごく大事なポイントになっていたと思います。
まるで、現代版『IWGP』を見ているような、カラッとしつつもエモさもある、青春ってそういうものじゃないですか。僕が堤監督を好きなポイントのひとつに、物語のクライマックスを安易に作らないというところがあります。フィクションを作る際に、現実をさらに闇鍋(やみなべ)のように猥雑にしていく要素はあるけれど、現実を漂白して嘘を上塗りしていかないところがすごく好きなんです。

――SKY-HIさんたっての希望で堤監督に依頼したそうですが、狙い通りになりましたか?
狙い通りかどうかは僕も正直なところ分かっていなくて(笑)。ただ、3人を中心に、ediiiも入れて4人が織り成すドタバタ感というのは、本当に見たかったものなので。それを見せてもらえたというのは間違いありません。彼らと堤監督を信頼していたので、すべてお任せしました。ただ、ラストシーンの“とある出演者のとあるシーン”については、「彼のこういう姿が見たい」と、ちょっとだけお願いしました。
――アーティストである彼らに、俳優への挑戦を勧めた意図を教えてください。
おそらく、「同じ表現という土壌だから、歌手活動にもいい影響がある」というのが正しい回答だと思いますが、それ以上に「チームで作っていく」という意識を育めたことが1番強かった気がします。
彼らを育成する立場で携わらせてもらった人間として、本当に誇り高いのは、「初ドラマで42泊」という過酷な撮影を乗り越えた彼らが、撮影が終わって最初に出た感想がクルーへの感謝だったことです。それも取ってつけたような感謝じゃなくて、ちゃんとチームのみんなで仕事をしているという意識があった。
打ち上げで3人がサプライズで『Forked Road』(2024年11月にリリースされたRUI/TAIKI/KANON名義の初EPのタイトルソング)という別れと再出発の曲を歌ってくれたんですけれど、3人とも泣いちゃって歌えなくて。こういう経験をできた、こういう青春を過ごせたということが本当に良かったなと思います。

――まぶしいですね。
本当にまぶしかった!撮影の合間には古着屋さんに行って、「これ900円」「これ680円」とか、安い自慢をし合っていて(笑)。42日間の共同生活ならではのものだったのかもしれませんね。
僕はかねてより、芸能活動について回る「青春をささげた」というワードが本当に良くないと思っていて、芸能活動であろうと、甲子園を目指すことであろうと、恋人とディズニーランドに行くことであろうと、それぞれに違う青春の過ごし方であって、いい青春になるようにサポートするのが僕ら大人の仕事だと思うんです。今回の彼らを見ていて「めっちゃいい青春を過ごせてるな」と思いましたね(笑)。
10代の4人に感じたまぶしさを語ったSKY-HIさん。インタビュー後半では、オーディションの際に注目するポイントやSKY-HI流の育成論、そして多忙な中でのプライベートな時間について聞きました。