──では、アニメのお話をうかがいますが、今回演じる魂電は、どのような役と捉えて演じましたか?

見ていただくとわかりますが、魂電だけど魂電じゃないところから始まっていて、僕が演じているのは、魂電に憧れる青年ヤン・チョンなんです。

ヤン・チョン(CV:島﨑信長)

放送前にヤン・チョンの話はできなかったのですが、魂電の紹介文に「継承する青き閃光」「長年愛され続けているヒーロー」という文言とか、ヒントは出ていて。

この文言からベテラン感があるけど、僕がキャスティングされているのということは…と推測できた方もいたかもしれませんね。

──改めて、ヤン・チョンを演じて感じたことを聞かせてください。

ヤン・チョンは子どもの頃に家族を亡くしていて、そのときに命を助けてくれたヒーロー・魂電に憧れています。そして、誰しも少なからず「信頼値」を持っているのが当然という共通認識のなかで、信頼値0というところから物語が始まります。

それでも魂電に憧れて、魂電に会うために頑張って、周りの人に支えてもらって、奮起して。一歩ずつ成長していく姿がキラキラしていて、ステキだなと思いながら演じていました。

島﨑信長 ヤン・チョンにとって大切な人たちとのシーンは「全部印象深い」

──やがて世の中から「新魂電」と呼ばれるようになりますが、最終的には、つらい決断を下すことになりますね。

家族のことなどつらい環境にあるところから物語が始まって、それがいい方向に動き出したという成功の話でいいのに…。

3話のなかで、もう一度闇に落とされるのがしんどいです。でも、それはそれで“人間”を描いているなと感じていて。人のままならなさというか、世の中の不条理さが描かれていて、作品としては面白いなとも思っています。

客観的に見てただ面白いということだけじゃなく、「もう少し、なんとかならなかったのかな」という“思い”が感想として出てきたことは、僕にとって良いことで、すごく思い入れのある役になりました。

──印象に残っているシーンはありますか?

基本的にシア・チン(CV:直田姫奈)、シャン・チャオ(CV:広瀬裕也)、シア・チンの弟・ユズ(CV:弘松芹香)と絡んでいるのですが、この3人にすごく支えられて、元気をもらっていたので全部印象深いです。

それぞれで言うと、シア・チンは絆を深めていくシーンも印象的ですが、決別が一番心に残っています。わかりやすく仲違いして「あんたなんか嫌い」と別れたわけではないので。お互いに思いはあるけど、離れるしかないというか。その離れ方が、そこまでの積み重ねがあるだけに切なかったです。

シア・チン(CV:直田姫奈)

──シャン・チャオはいかがですか?

シャン・チャオに関しては…死って、ドラマチックというかどうしても印象に残りますよね。当初は、シア・チンとの仲を勘ぐって、劣等感を持っていたけど、ちゃんと付き合うと本当にいい人だと気づいて。ヤン・チョンのためにいろいろと尽力して、盛り立ててくれたのはシャン・チャオだから。本当に悲しかったです。

シャン・チャオを演じた広瀬くんとは、「もうちょっと話したいね」と言って、アフレコ後にカフェに行きました。そこで『TO BE HERO X』のこととか、お芝居の話をたくさんしたのですが、そういったアフレコ以外の交流も含めて印象に残っています。

──ユズは、実は最初からヤン・チョンを慕っていた人ですよね。

左から)シア・チン(CV:直田姫奈)、ヤン・チョン(CV:島﨑信長)、ユズ(CV:弘松芹香)

そうですね。ユズは、ヤン・チョンにとってきっかけの人。ヒーローショーに出るヤン・チョンに対して、ユズは文句を言ったりしていたけど、それは期待の裏返しだったと思うんです。

ヤン・チョンの認識としては、「誰も僕のパフォーマンスなんて見てもいないし、期待もしていない」という感じだと思うのですが、そうじゃなかったというか。信頼値として現れたのは、さらわれたユズを助けたシーンだけど、その前からずっとユズは見ていてくれたんです。それはすごくうれしいなと思いました。

ユズを助けるシーンは、信頼値がドーンと上がって、ある意味でヒーローとしての初仕事というか、初めて活躍する場面なので、すごくワクワクしましたね。何も闇がない、光輝くヤン・チョンの姿とその後はきっとハッピーな展開がやって来るんだろうと思えるシーンで、山場の一つでした。