──お2人が演じる、モカとヤーセンの魅力を聞かせてください。
花江:モカはわがままで…(笑)。でも、逆に気持ちいい性格ですよね。当初は退屈をそのまま受け入れていたけど、ヤーセンと出会って、退屈を感じると死んでしまう“心原虫”に寄生される状況に置かれて、変化していって。
「私は危険で刺激的な日常を選ぶ」という意志の強さも見られる、カッコいいキャラクターに変化していく感じがすごく魅力的ですね。

潘:私から見たモカは、「生きることを諦めていないかな?」というところから始まっているのですが、そういう自身の状況に対して無感情で。きっと、日々ルーティン的に過ごして、それが退屈になり、さらに深いところに行くとモカみたいになるのかな、と。
でも、本来の彼女が生きることを諦めるような人だったのかと言えば、そうではなくて。ヤーセンと出会うことで、どんどん変わっていくんですよね。だんだん生きる気が起きてきて、生きることへ執着も出てきて、あきらめが悪くなって、ふてぶてしくなって。
モカを通して「自分以外の人といることの大切さ」が感じられる気がしますし、そこがモカの魅力だと思います。
潘めぐみ 抜かりのない花江夏樹の役作りに「聞きほれちゃう」「感動しました」
──ヤーセンについてはいかがですか?
潘:ヒーローですし、スーパー宇宙人なのですが、モカたち地星人に近い感覚でいてくれる人。
なんというか、「ヒーローだ!」と見せつけるわけでもなく、もちろん助けになってくれて、モカに対しては心原虫を誤って寄生させてしまった負い目もあるから身の回りのお世話までしてくれて(笑)。そこまでしてくれるヒーローって、なかなかいないですよね。宇宙人かもしれないけど、フラットでいてくれるところがヤーセンの魅力かなと思います。
あとは、モカを退屈させまいと、エンターテイナーの一面を見せてくれるのもいいですね。それによってモカはどんどん生きる活力が湧いてくるわけですから。
ヒーローという以前に、すごく人として真っ当な感覚を持っている人で、そこがいいなと感じます。

花江:ヤーセンは辛抱強くて、忍耐力があって、物事を投げ出さない真面目さがある人。モカに対しては心原虫のことで迷惑をかけて、責任も問われる事態になっているので奉仕している部分があると思うのですが、彼の本来持っている優しさや思いやりがシーンの端々に感じられるんですよね。
ちょっと不器用さも見られますが、単純に応援したくなるようなキャラクターだなと思いながら演じています。
──アフレコ時の印象的なエピソードを聞かせてください。
潘:ヤーセンと掛け合っている時に感じたのですが、花江さんはとても忙しいだろうにお芝居やセリフに対して真摯というか、抜かりがない。丁寧な人だなと改めて思いました。
1話で心原虫の説明をバーッとするシーンがあるのですが、もう聞きほれちゃう感じだったんです。それを聞いていて出遅れそうになっちゃうくらい、感動しちゃいました。

花江:そうだった?ありがとうございます(笑)。
僕の中で潘ちゃんは、共演した作品のキャラクターの印象が強くて、クールで落ち着いたイメージだったんですよね。だから、モカをどうやって演じるんだろうと思っていたけど、すごく…いい!
潘:えー!恥ずかしい(笑)。
花江:気力のない感じのなかに、ワイルドさも入っていて、聞いていて心地がいいというか、「次はどんなアプローチで来るんだろう」って楽しみなお芝居だなと感じました。
あとは、モカって表情がものすごい勢いで切り替わっていったり、途中でジュースを飲んだり、変な効果音が入ったりするんです。それが、(中国版の)原音とはまた違った、潘ちゃんならではの音で演じているので、聞いていてすごく楽しいアフレコでした。