『第36回ヤングシナリオ大賞』は石田真裕子さんが大賞に！審査委員長の宮﨑暖プロデューサーは「キャラクターとシチュエーションを思いついた時点で勝ち」と絶賛

今回、総数1585編の応募の中から大賞に選ばれたのは、会社員の石田真裕子さん（36）による『人質は脚本家』。

5年前に担当したドラマの失敗をきっかけにシナリオが書けなくなった脚本家の小泉が郵便局で人質事件に巻き込まれ、その犯人が実は小泉が手がけた作品のファンだったというストーリーです。

宮﨑プロデューサーは選定理由を「このキャラクターとシチュエーションを思いついた時点で勝ちだったのかなと思いました。リアリティを度外視したファンタジーのようなコメディで、どうすれば面白い状況になるかをシンプルに突きつめた印象」と紹介。

続けて「実際だとありえない状況なのですが、そこにいる人物たちのセリフがとても現実的で、状況とセリフのミスマッチみたいなところが笑いを誘う作品。熱を出したときに見る夢みたいな感じで、ページをめくる手が止まらなかったです」と説明しました。

この言葉をうけ、石田さんは「私の唯一の趣味がテレビドラマを見ること。今まで見てきたたくさんのドラマが今の自分をつくっているといっても過言ではないと思うほど、ドラマが大好き」と“ドラマ愛”をアピール。

そして、「書くことに関しては初心者なので、私が大賞でいいのだろうかと戸惑いもあるというのが正直な気持ちです。少しでも早く一人前の脚本家になれるよう、今度は私が誰かの人生にとっての大切なドラマを書けるように精一杯頑張っていきたい」と心境を語りました。

佳作を受賞したのは芸能会社に勤める三嶽咲さん（33）による『天才クイズアカデミー』。クイズの全国大会出場を目指す名門高校生たちが衝突を繰り返しながら絆や友情を深めていく様子が描かれます。

宮﨑プロデューサーは「企画力とテーマの新鮮さみたいなものを強く感じた」と振り返り、「バラバラの個性をもった3人が一つになっていく、よくある青春モノなのかなと予想して読み始めたのですが、深いテーマがそこにはあって、既存のコミュニティに入っていく難しさなど現代的なテーマを抱えていてとても新鮮でした」と感想を。

そして、「三嶽さんと面接をさせていただいたときに、時代を分析することがすごく好きな方で、その能力も長けていると感じました。新しいものをつくろうとする意欲や自信も感じられて、大きな可能性を感じた」と説明しました。

三嶽さんは「昨日、受賞の言葉を考えるにあたり、どうして（シナリオを）書き続けるのだろうと考えたところ、『雲外蒼天』という四字熟語を思い出しました」とコメント。

続けて「現在は日本の漫画家さんたちがトップをひた走り、テレビドラマでいうと韓国に少し差がついてしまっているのではないかと思うのですが、そこに“追いつけ追い越せ”の精神で頑張った先にある世界を見たくて、書き続けているのだろう」と書き手として抱える思いを切々と述べ、「今回、賞をいただいたことでちょっとですけど前に進めた気がしています」と緊張気味に語りました。

書いてみたいジャンルを問われると、石田さんは「三谷幸喜さんや宮藤官九郎さんのような、わかりやすい天才的なコメディが書けるようになれたら」といい、三嶽さんは「エンタメと社会性の両方を大事にした作品をつくっていきたい」と返答。

最後に改めて今後の意気込みを聞かれると、石田さんは「せっかく大好きなドラマの世界に足を踏み入れたので、早く一人前になれるようにとにかく頑張りたい」と意欲たっぷり。

三嶽さんは「私は受賞してからが大変だと思っています。昨年、TBSさんでもシナリオの賞をいただきましたが、まだデビューできていないので、1日でも早く打席に立てるようになりたい」と力を込めました。

大賞受賞作はすでに実写化が進行中だそうです。