派遣スタッフ・クライアント・社員の三者に価値を届けるDXを―パーソルテンプスタッフが掲げる戦略とその現在地
パーソルグループでは、中期経営計画2026において目指すべき方向性として「テクノロジードリブンの人材サービス企業」への進化を掲げ、グループの各事業・サービスがテクノロジー活用の取り組みを加速させています。
今回は、パーソルテンプスタッフで派遣スタッフ向け・クライアント向け・パーソルテンプスタッフの社員向けといった3つの軸でテクノロジー活用に取り組む、富川、山下、吉田の3名にインタビュー。パーソルテンプスタッフにおけるテクノロジー活用の変遷と、現在掲げる戦略や取り組みの現在地、そして今後の展望について話を聞きました。
パーソルホールディングスが運営するWebメディア「TECH DOOR」では、パーソルグループ内で取り組んでいるITプロジェクトを紹介しています。本記事と併せてぜひご覧ください。
業務の断片的なデジタル化から、派遣スタッフ・クライアント・社員への価値提供のためのテクノロジー活用へ
―まずは、パーソルテンプスタッフにおけるテクノロジー活用のこれまでについて教えてください。現在のようにテクノロジー活用に注力するに至るまでに、どのような変遷があったのでしょうか。
吉田:率直に表現すれば、20年ほど前までのパーソルテンプスタッフはITやデジタルというものを得意とする会社ではなかったと認識しています。
当時営業部門にいた私の目には、人材派遣という人と人との接点に価値を見出す事業の性質上、そういった接点をデジタルに置き換えていくことに懸念がある傾向があったように映りました。
それがパーソルテンプスタッフの良さでもあり、課題でもあったのではないでしょうか。
富川:そうですね。私も営業経験がありますが、何かあったときにすぐに駆けつける、その距離感や温度感が何より大切にされており、当時はそこに疑問を抱くことはありませんでした。
そうした文化が根付いていた中、働き方改革の気運の高まりを背景に営業担当者が担う業務を減らす必要に迫られたことが、おそらくパーソルテンプスタッフでのテクノロジー活用の発端だったと思います。業務の中でデジタル化できる部分を切り出してデジタルに置き換える、という整理が進められていきました。
しかし、一連の業務プロセスの中で限られた業務のみが断片的にデジタル化されたため、業務の接続が難しく、担当者が業務負担軽減の恩恵やテクノロジー活用のメリットを十分に実感することはできていない状態だったのです。
山下:現場を思えばこそ、営業担当が業務負荷を感じている内容をヒアリングしながら、業務改善をするためのデジタルツールをさまざまリリースしました。そうして少しずつテクノロジー活用を進めた結果として、どこがテクノロジーで支援され、何が楽になったのかが見えづらくなってしまったのだろうなと捉えています。
―テクノロジー活用の重要性が意識されるようになり、状況が変わっていった背景やきっかけとはどのようなものでしたか?
山下:その後、2019年ごろに掲げられたのが、派遣スタッフ向け・クライアント向け・パーソルテンプスタッフの社員向けそれぞれにデジタルのタッチポイントを設けようという「AA(オールオートメーション)構想」でした。
この構想をもとに皆で「どこをどうデジタル化すべきか」「カスタマージャーニーマップが必要なのではないか」と議論を重ねてきた結果として、今のテクノロジー活用の戦略や取り組みがあると思っています。
ようやく、一部の業務を断片的にデジタル化するのではなく「派遣スタッフやクライアント、そして社員にどのような価値を提供できるか」を考えた一枚岩のテクノロジー活用が推進されるようになってきた感触があります。
各領域における取り組みの“掛け算”で、三者に提供できる価値を最大化する
―ここから、パーソルテンプスタッフが掲げるテクノロジー戦略について詳しくお聞きしていきます。まず前提として、パーソルテンプスタッフでは「テクノロジー活用」というテーマにおいて、どのようなことを大切にされているのでしょうか?
富川:パーソルテンプスタッフは“人”を強みとして、派遣スタッフやクライアントの皆さまから選ばれ、世の中からも信頼を得てきました。そうした歴史の中で大切にしてきたものをしっかりとデジタルにも反映するという意味で、私が管掌する派遣スタッフ向けの領域においては、人の温かみが感じられる“血の通った”テクノロジー活用をテーマとして意識しています。
派遣スタッフの皆さんにとってのパーソルテンプスタッフの印象が、営業やコーディネーターの対応とデジタルのタッチポイントとで変わらず、「営業担当のフォローも温かいし、デジタルでの心遣いもいいな」と思っていただけるようでありたいと心を配っています。
吉田:社員向けには、デジタル化による業務効率の追求が目的なのではなく、営業担当者の介在価値を最大限発揮するため、そしてその時間を捻出するためのデジタル化なのだということを強調しています。
山下:クライアント向けにおいて特に重視しているのは、「お客さまが何を求めているか」という視点です。お二人のお話にもありましたが、営業担当者がお客さまのもとに何度も足を運んでお声を聞き、その思いやご要望を大切に取り組んできたというのがパーソルテンプスタッフの事業の根幹ですから。デジタルでも同じように、お客さまそれぞれの期待や思いに合わせた施策を行っていきたいと思っています。
―そうした思いをふまえ、現在どのようなテクノロジー戦略を掲げて取り組んでいるのでしょうか。
吉田:先にお伝えしたAA構想に則りながら、クライアント向け・派遣スタッフ向け・社員向けの各領域間で連携を強化することに力を入れています。
これまでは「派遣スタッフ向けアプリにこんな機能があったら便利ではないか」「クライアント向けのポータルサイトにこういうものがあったらいいのでは」と単独で考えて取り組んできており、それぞれに最低限の機能は備えることができている状態にあります。
そこで次のステップとして、「アプリ上で派遣スタッフが回答した内容を、クライアントや営業担当者にどう通知するか」「クライアントのご要望を、営業担当者がいかにキャッチして派遣スタッフに伝えるか」という、各領域を行き来するようなものづくりのあり方に変えていきたいのです。
各領域におけるテクノロジー活用の取り組みの足し算ではなく“掛け算”を実現することで、最終的に三者に対して価値を提供できるようにするという狙いがあります。
―3つの領域の連携強化に向けて、どのような取り組みや工夫をされていますか?
富川:まずは中計をふまえたミッションが主に派遣スタッフ向け/クライアント向けの領域に与えられ、このミッションを受け取った組織を主管組織として共同のプロジェクトを立ち上げるという流れで取り組みを進めています。
プロジェクト以外にも、普段からこの3名で定期的に打ち合わせをして何か動きがあった際にすぐに連携できる体制が作れていますし、「自分の領域で良いものが作れればいい」ではなく管掌領域以外にも心を配る意識が互いに共有されていると感じます。
山下:今では、企画の種となるアイディアの時点から共有して、意見交換ができていますね。
基本的には事前に決めたものに合わせてシステムを作っていくことになるので、作り始めるまでにどれだけ話し合いができ、企画の確度が高められているかは重要です。本当に良いものを作り、皆さんに使って満足していただくことがゴールですから、課題がある場合には早い段階からしっかり磨いていきたいなと。そういった意味で、アイディアベースでフラットに話し合える環境や組織風土があってよかったと感じます。
富川:対話を重ねてものづくりをするからこそ、できあがったものが使えないとなったら私たちに責任があります。そんな“一蓮托生”とも言える意識で、よい連携ができている手応えがありますね。
―実際に3領域の連携によって実現した取り組みの事例などがあれば教えてください。
富川:2024年から着手したのが、派遣スタッフの評価制度を充実させるための取り組みです。派遣スタッフには就業期間の自己評価を、クライアントには派遣スタッフの評価を各デジタルツールで基幹システムへ連携し、営業担当者側はそのデータを確認できるのはもちろんのこと、派遣スタッフにも評価をPDFデータとして共有できる仕組みをつくりました。これまでのような人を通じたコミュニケーションを保管することが可能となったのです。
“一蓮托生”の連携体制を活かして、より良いものづくりの推進を目指す
―掲げる構想や戦略の実現に向けて、進捗としてはいかがですか。
富川:まだ始まったばかりで、事例としてご紹介した取り組みを通じて3領域の繋がりがようやく生まれた段階だと捉えています。
ただ昨年に比べて組織横断のプロジェクトは増えた印象ですし、この3名だけでなく組織全体にも“一蓮托生”の意識が広がって連携が生まれている手応えもあるので、これを皮切りに「この連携体制を活かして何をしていくか」「いかに良いものを生み出していくか」をこれから磨いていきたいところです。
―ありがとうございます。それでは最後に、皆さんの今後の展望をお聞かせください。
吉田:パーソルテンプスタッフは今まさに転換期を迎えており、私たちはこれまで良しとしてきたものを変えていく覚悟と責任を持って、テクノロジーを活用したものづくりやプロセス変革に取り組んでいかなければなりません。
「現場の皆さんがこれを求めているから」「これがあればなんとなく便利だから」ではなく、「この会社が数十年先まで成長を続けていくために、今どれだけプロセスを変えられるか」「派遣スタッフやクライアント、そして社員にどのような価値が提供できるか」を追求していきたいと思います。
富川:「デジタルを使って何ができるか」を知っている私たちだからこそ、テクノロジー活用が進む中で「人にしかできないことは何か」をしっかりと考えていきたいと思っています。そしてそれを営業担当者とも共有し、「ではデジタルでどこまでできるようにする必要があるのか」「派遣スタッフ・クライアント・社員の三者をどのように繋ぐべきか」まで捉えた上で、目の前のデジタルツールの導入や改善に携わっていければと思います。
山下:お二人からもあったように、これから事業やプロセスのあり方は少しずつ変わっていくはずです。そういった変化が起きる中で、どのようにクライアントと繋がり続け、いかにいつでも最適なサービスをご提供するかが最も大切だと考えています。
常にその時代に合わせた顧客接点を持ちながら情報やサービスをご提供するためのインフラを、これからも磨き続けていきたいと思います。
※2025年1月時点の情報です。
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