【創業200周年】江戸~令和へ日本の化粧品市場を第一線で走り続けてきた伊勢半…どんな時代も人々の「美しくありたい」に応えようとひたむきに歩んだ軌跡
2025年に創業200周年を迎えた株式会社伊勢半は、日本一長い歴史を持つメイクアップ化粧品メーカー。そのはじまりは江戸時代の1825年に創業した紅屋です。
日本伝統の化粧品「紅」を現代まで守り継ぐ一方、戦後は総合化粧品メーカーへと本格的に舵を切り、確かな品質の商品と先駆的でユニークな宣伝販促により、「キスミーシャインリップ」など数々のヒット商品を世に送り出し、「キスミー」ブランドを世に広めました。
現在も「ヒロインメイク」「ヘビーローテーション」「キスミーフェルム」「キス」などのブランドを展開し、市場の最前線を常に走り続ける伊勢半が歩んできた200年の道のりとは。創業200周年を迎えた今の想いについて、代表取締役社長の澤田晴子に話を聞きました。
代表取締役社長 澤田晴子
江戸から変わらぬ「紅」の製法を現代へ受け継ぐ最後の紅屋「伊勢半」
江戸時代後期の1825年(文政8年)、初代・澤田半右衛門は江戸の日本橋小舟町に紅屋「伊勢屋半右衛門(通称:伊勢半)」を創業しました。伊勢半が創業したころは、今年の大河ドラマでも描かれているように、活気にあふれた江戸の町で町人文化が花開き、化粧も身分の高い一部の人のものから、広く庶民にも広がりました。
澤田:伝え聞く話では、川越で生まれた半右衛門は13~14歳で江戸に来て、奉公をはじめました。その時から「いずれ自分の店を持ちたい」と高い志を持って励み、36歳で江戸における商業の中心地であった日本橋に伊勢半を創業しました。
熟練の職人によってつくられた伊勢半の「小町紅」は、高品質の証とされる玉虫色の光沢を放ちました。それは江戸の町で評判となり、商売は順調な滑り出しだったそうです。
紅花の花びらにわずか1%だけ含まれる赤色色素を、職人が手間暇かけて抽出し作られる日本伝統の化粧品「紅」。お猪口ひとつ分の紅を作るのには、紅花の花びら約1000輪分が必要です。
純度の高い紅はうつわに塗って乾くと、赤色が緑に輝く玉虫色に変化し、使用する際に水を含ませた筆で取ると、再び赤色となるのです。この神秘的な紅の不思議は、現代でも解明されていません。
紅花の花びらから作られる日本伝統の化粧品「紅」
澤田:紅づくりの製法は代々、伊勢半の当主に口頭でのみ伝えられてきた、門外不出のものです。職人の繊細な感覚が必要となる紅づくりは、マニュアル化や機械化が不可能で、現在も当主に認められた3名の職人にのみ紅づくりの技術が継承され、江戸時代から変わらぬ製法で紅づくりを行っています。
時代が江戸から明治に変わると、海外から安くて扱いやすい化学染料が輸入されるようになります。そうすると、かつては数々の店が名を連ねていた紅屋も、相次いで閉店に追い込まれてしまいます。
そんななか、伊勢半は時代の煽りを受けながらも、実直に紅づくりを続けた結果、気づけば伝統の紅づくりを継承する唯一の紅屋となっていました。私たちは令和となった現在もなお、最後の紅屋として江戸時代から変わらぬ製法で、紅づくりを守り続けています。
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紅づくりの技術をはじめ、日本の化粧史や明治以降のレトロコスメなどを展示
紅ミュージアム(表参道)
https://www.isehan-beni.co.jp/museum/
10:00~17:00 日曜・月曜休館 入場無料
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総合化粧品メーカーへの舵取りと、昭和を彩った「キスミー」の誕生
最後の紅屋としての使命感のもと、伝統的な紅づくりを守り継ぐ一方で、西洋風の油性口紅の研究開発にもいち早く取り組みました。そして昭和の初めには、戦後ヒット商品を次々と送り出すことになるブランド「キスミー」が誕生し、口紅だけでなくファンデーションや香水など多岐にわたる商品を展開。総合化粧品メーカーとして時代の流れに合わせ、その姿を柔軟に変化させていきました。
澤田:昭和の初めという時代背景を考えると、「私にキスして!」という意味の「キスミー(KISSME)」を、ブランド名につけるというのは、かなり先駆的な挑戦だったと思います。
戦後、ユニークな宣伝販促も相まって、口紅を中心に数々のヒット商品が誕生し、日本のメイク史にその名を残すブランドとなりました。
最初のヒット商品となったのは、戦後まもない1946年に発売された「キスミー特殊口紅」でした。まだ食糧が不足していた時代に、唇の荒れに効果のある成分を入れた口紅を「口唇に栄養を与える」というコピーをつけて宣伝したところ、栄養という言葉に敏感だった当時の人々の心をとらえヒットしました。
キスミー特殊口紅の広告「口唇に栄養を与える」のコピーが世の心をとらえた
澤田:戦前、連日連夜におよぶ試行錯誤の末、ようやく完成した海外製にも引けを取らないような、渾身の口紅を発売しました。品質は申し分のない出来だったのですが、その口紅はあまり売れなかったそうです。
その理由は宣伝力の不足でした。そこで「製品が優秀でも宣伝が効果的でなければ売れない」という教訓を得て、戦後ユニークな宣伝広告を展開し、キスミー旋風を吹かせました。
1955年に発売された「キスミースーパー口紅」は、落ちない口紅として支持を得たことはもちろん、「キッスしても落ちない」という大胆な宣伝コピーと、映画のワンシーンのような、いまにも口づけしそうな男女を描いた刺激的なビジュアルで一大センセーションを巻き起こしました。これにより、世の中の圧倒的な支持を集め、「口紅といえばキスミー」と言われるまでになりました。
キスミースーパー口紅の広告は、そのインパクトで議論を巻き起こすも
結果的に多くの支持を獲得
そして1970年、今も日本の化粧史にその名を残す、ギネス級の大ヒット商品「キスミーシャインリップ」が誕生します。まだリップグロスというものが日本に存在していなかった当時、日本初の唇のつや出し専用口紅として発売。パールのような輝きとはひと味違う、濡れたような透明感が人々の心を鷲掴みにしました。
キスミーシャインリップ
澤田:当時、カラーテレビの普及によりテレビに映る芸能人の明るく輝く唇が、人々の目に魅力的に写りました。憧れのアイドルに近づきたい気持ちと、ちょっと背伸びしたいおしゃれ心がくすぐられ、当時のOLたちから火がつき、瞬く間に中高生にまでその人気が広がりました。
私もちょうど高校生でしたが、クラスみんなが必ず1本は持っているようなマストアイテムでした。私にとってもキスミーとの出会いとなった思い出深い商品です。
その後、キスミーシャインリップは1976年に年間販売本数1300万本超を記録し、日本のメイク史にその名を刻むギネス級の大ヒットとなりました。
いつの時代も変わらず、私たちが大切にしていること
江戸時代に紅屋としてスタートし、その後も口紅を中心とした数々のヒット商品を送り出してきた伊勢半。現在ではマスカラ・アイライナーが人気の「ヒロインメイク」や、眉マスカラのパイオニア「ヘビーローテーション」など、その展開は多岐にわたります。
日本一長い歴史をもつメイクアップ化粧品メーカーとして、江戸から令和まで人々の「美しくありたい」という不変の願いに、化粧品を通して応えてきました。そんな私たちが、いつの時代も変わらず大切にしている3つのことがあります。
それは「品質」「遊び心」「革新」です。
澤田:職人気質ともいえる「妥協のない品質へのこだわり」は、創業してからずっと脈々と受け継がれてきました。先代から聞いた話ですが、伊勢半が戦後の焼け野原で口紅づくりを再開したとき、質の良くないものでも売れる時代でしたが「いずれ品不足が解消されれば、粗悪品は淘汰され、良質のものだけが生き残る時代が来る」と信じ、原料の質にはこだわったそうです。そして、間もなくその時が来ました。
品質や機能性へのこだわりは今なお、耐久アイメイクブランドとして支持を集める「ヒロインメイク」をはじめ、伊勢半のものづくりの基盤となっています。
そして、伊勢半らしさを表すパーソナリティにも掲げられている「小粋な遊び心」も、私たちにとって欠かせないものです。
澤田:お客様を次は何で喜ばせ、驚かせようかといつも考えています。私たちの商品でワクワク楽しんでもらいたいと思っているのです。
耐久性に優れたマスカラを新発売するにあたり、往年の少女漫画を彷彿とさせるイメージキャラクターを生み出し、「少女漫画のヒロインのような魅力的な目もとになれる」といったコンセプトや、ストーリー性のある世界観で創りあげた「ヒロインメイク」も、こうした遊び心なしには誕生しなかったと思います。
2005年に誕生し、今年20周年を迎えたヒロインメイク
そして、伊勢半が長きにわたり化粧品業界を最前線で歩んでこられた理由。それは伝統を大切にしながらも、変化を恐れず常に「革新」を重ねてきたことです。200年におよぶ道のりのなかでは、数々の日本初・業界初の商品や取り組みが誕生しました。
そのなかでも、1966年に日本の化粧品業界にはじめて導入したPSP(パーフェクトセルフパッケージ)システムは、現在ではドラッグストアなどでよく見られるように、個包装された商品をフック付きの棚に並べ、お客様が自由に好きなものを手に取れる販売方法として定着しています。
今では当たり前となった化粧品のセルフ販売を
伊勢半が日本の化粧品業界にはじめて導入
澤田:化粧品のセルフ販売を可能にしたPSPシステムが日本で導入されるまで、化粧品を購入する場といえば百貨店や専門店で、現在も百貨店で見られるような対面販売が主流でした。日本人の奥ゆかしさ故か、店員に気を遣ってしまい欲しいものや好みが言い出せず、勧められるがまま購入して後悔するというようなこともあったそうです。
そんな当時、アメリカ視察でスーパーを訪れると、食品や日用品のように人々が楽しそうに、自分で自由に化粧品を手に取って買っていく姿を目にしたそうです。その感動と衝撃をぜひ日本にも取り入れたいと、それまでの概念を壊し、化粧品業界に革新をもたらしたのです。
現在の商品開発においても、その革新的な姿勢は健在です。まだ世にない物を真っ先に生み出そうとする熱い想いは、化粧品市場に驚きを与え、新たなメイクの常識を提案してきました。
高耐久マスカラにあわせたマスカラ専用メイク落とし「マスカラリムーバー」をはじめ、ペンシルでもパウダーでもない新たな眉メイクアイテム、眉マスカラを市場に根付かせた「カラーリングアイブロウ」など、お客様に新たな価値を提案しようとする、ものづくりに懸ける情熱は留まるところを知りません。
まだ世にない物をいちばんに生み出そうとする
「ものづくりへのひたむきさ」が実を結んだ人気商品
「The 1st Cosmetics. 伊勢半 いちばんほしいを、いちばんに」
創業200周年の節目を迎えた今、伝統を守りつつも革新への努力を尽くしてきた先人たちに想いを馳せながら、200周年のその先を見据え、伊勢半の存在意義や使命を改めて表明するパーパスを発表しました。
澤田:現存する最後の紅屋として、江戸の創業以来変わらぬ、紅の伝統を後世に繋ぐこと。そして、日本でいちばん長い歴史を持つメイクアップ化粧品メーカーとして、いつの時代も最前線でお客様がいちばん欲しいと思う化粧品を真っ先にお届けし、いちばんに選ばれる化粧品になることを目指していきたいと思います。
伊勢半グループは、これからもメイクを楽しむ人々の気持ちに寄り添いながら、私たちが世に生み出す化粧品で世界中の人々を喜ばせ、驚かせ、輝かせて、沢山の美と幸せを紡いでいきます。
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